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2015年12月8日付「ニューズ・ウィーク」。売上7兆円のアメリカのファイザー製薬がアイルランドの製薬企業アラガンと経営統合する。1868年以来147年間、ニューヨークに本社を持っていたが、これから本社をアイルランドへ移す。

買収額も19兆円と巨大だ。規模の小さなアラガンがファイザーを買収するという信じられない形だ。北海道を法人税の安い独立国家だとすれば、札幌に本社のあるロバパンが山崎製パンを買収するようなものだ。この裏には法人税がアメリカでは35%、アイルランドでは12.5%と。株主が笑って喜ぶ構造を作ろうとする姿勢が顕著だ。(日本は現在法人税率32.11%、2016年度から29.97%へ。大企業の内部留保金だけが膨らみ、株主へ利益が動く構造だ)

ファイザーに話を戻すと、節税効果が年間20億ドル(2200億円を超える)。株主に配当を増やすための手法としての「課税逆転」。本社を法人税の安い国に置く。今後、ファイザーはアメリカからみて外国企業になる。しかし、この判断にアメリカ政府や財務省が規制策をいま考えている。大企業が「税金を納めたくない」手法として、世界中でこれが進めば、国の税収は、より安い法人税率の国や地域へ移転する。

しかも、外国で上げた利益を税率の高い国には持ってこないで、そのまま、外国へ置いておくという手法も一般的になっているとしたら、日本のサラリーマンが天引きで税を取られる毎月の悔しさを考えたら、どこかおかしくないだろうか?ますます1%の富裕層がアメリカの富の独占を加速させるだけ。「アメリカ国外での利益を税の負担なくアメリカへ送ることができる」。マネーロンダリングをしているような国籍不明な企業に見えてくる。

企業活動にとって、国家は邪魔になってるように見える。その国家も税収の使い方が、国家公務員の給与、各自治体への補助金、軍隊の維持費、これまでの国債への利子償還で消えるとしたら、またそういう思考の政治家の群れだとしたら、税金を納めていく志がくじかれるかもしれない。しかし、企業も儲かるとしたら、国のトップとつるんで外国へ同行して円借款を相手国へ直接渡す前に、日本の商社なり、ゼネコン経由で仕事をもらい、相手国の役人へリベートを渡す。すべて国民の税金で、政府専用機を新千歳空港から飛ばしていく。

ファイザーも風土病の研究やまだまだ解決されない疾病の開発費を膨大に投資はしているのだろうけど、経営者が株主・株主を喜ばせるだけの企業はいずれ破たんする、そう思う。筆者の唯一の海外旅行がアメリカ西海岸。ビバリーヒルズをバスの中から見学して、高い塀をめぐらし、銃で武装した警備会社に守られた金満家の団地(刑務所)をみて、アメリカ社会の不安定、貧富の差、差別を強く感じた。ビバリーヒルズの住民は可哀そうな人たちである。嫉みでもなんでもなく。寄付行為をたくさんしないと情緒面は落ち着かないだろうね。贅沢は飽きるし人間的に必ず腐敗する。

これを書き終えたら、12月15日「ニューズウィーク」に「ヤフーがヤフーを手放す?」の記事。また投資家のための事業変更予想だ。インターネット事業から撤退するかもしれないというニュース。現在、保持している中国電子取引アリババ株(15%)とヤフー日本法人株の二つで企業価値を高めているから、これだけを残せば、アメリカ国内の広告事業や検索エンジン事業をする必要はないというわけだ

アップル社もアイルランド経由での節税で政府と攻防中。下記アドレスへ。

http://vdata.nikkei.com/prj2/tax_haven/

  1. 企業経営関係者なら誰しも税の抜け道を考えたり、講じたり、何かしら対策を取っている事が多い。アップルなどはさすがに規模が大きく節税手法も節税額にも驚く。考えてみれば僕の身辺だけでもアップル製品は8~10個は有る。過去に遡ればまだ有るから、世界中に氾濫している製品はきっと驚きの数になると思う。デザインや機能面で優れているのも確かで、それだけに売り上げや収益も桁違いになるのだろうが、アップルやファイザーに限らず、母国にも外国にも、どちらにも属さない形の企業は他にもあるようだ。小さな道内企業でも節税のためモンゴルに移住した話も聞く。ますます巧妙になり既存の社会構造では歪が表れて来たと言う事だと思う。しかし相変わらず我が国のトップは諸外国にいい顔して円借款だの供与だのと、後先をわきまえず大判ぶるまいをやり放題だ。大赤字財政の立て直しは国民個人からの消費税増税などでは到底埋められないはずの足元に火が点いている借金大国なのに。民間企業に比べれば、国の経営者としては間違いだらけの答えを書く落第生だろう。

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