爆買いの行方?
昔からウマイ話には近づくな。諺でも「ただより高いものはない」「美味しい話には毒がある」(こんなのあったっけ?)。美味しい話は長続きしない。鉄の法則だ。株の仕手戦もそうだし、土地神話で土地を担保に融資した日本中の金融機関が狂気の融資を続けた時代も経験しているのに学ばない。
。住友の創業者の家訓「浮利を追わず」としたのに住友銀行天皇故磯田一郎を先頭に「浮利」を追いかけて大損失を生んだし、去年は住友商事がアメリカシェールガス事業で失敗、数千億円の赤字を生んだ。住友創業者の家訓を生かしていない。アメリカの投資会社や金融機関の罠にはまった。
で、中国の爆買だ。たまたま、去年の週刊新潮の12月31日・1月7日の合併号で「日本列島蒼ざめる最悪のシナリオ」記事の第一番目が「爆買中国人が街角から一斉に消える」という特集。新潮はもともと、中国に対して意地悪なスタンスを取っているから、かっこうの話題だ。それにしても日本中の自治体の長が「インバウンド、インバウンド(外国人観光で入国)」の連呼でうるさい。日本人の海外旅行はアウトバウンドとなる。普通の日本語で発言して欲しい。
観光事業ほど浮草稼業のものはない。たくさんのテーマパークが作られては閉鎖されて、そのときの投資がいまも自治体の財政を苦しめている。施設が二束三文で売却、社保庁が年金資金が余り過ぎて、全国に作った天下り先、保養施設を超安値で売却したのに似ている。一挙に人が来ると言うことは一挙に人がいなくなることでもある。そこまで読んで経営や自治体の経営をしているとは思うが、喉元過ぎれば熱さ忘れて・・・だ。
いま中国の持ち出し額は(銀聯カードによる外貨引き出し上限額)1枚当たり年間10万元(約190万)。しかし、ご存知のように中国国内消費が低迷し続ければ、海外で金を使うなら国内で使いなさいという保持する銀聯カード枚数を制限したり、使用金額を制限すれば、あっという間に爆買は止んでしまう。ホテルも取れない札幌でシングルでも泊まるだけで1万8千円だとこぼす人もいた。筆者の知っているホテル関係者に当たってもやはり高い。
それが民間のマンションやアパートを宿泊所代わりにして近所住民とトラブルを起こす。特に投資目的にマンションを購入してる人には朗報だ。民宿登録すれば、オリンピックが終わるまで稼げる。ここでも持てる者がさらに豊かになっていく。しかし、中国もオムツも立派なものを生産し、安全なミルクを作り、美味しいご飯を炊く炊飯器をいずれ製造できる日が来るから(そのための技術支援をすることが未来の日中関係にとってベターだと思う)。そして、中国人で海外旅行ができる層がいる一方、出稼ぎで両親が留守の田舎に住む子どもたちから見たら、同じ中国でありながら貧富の差はアメリカ以上かもしれない。
観光は基本的にリピーターを増やすべく、それも足元の人たちが何度も行きたい場所に改善するほうが長い目でみて成功し続けると思うがどうだろうか?突然の儲けは長続きはしないものだ。
昔の少年
爆買いと言っても、本人の場合と、友人・知人・親戚縁者に頼まれて大量買いの場合と、電化製品などは賄賂用に買う場合もあるらしい。しかし、日本国内のほとんどの製品が中国生産品と言うのは皮肉だ。自国生産品をわざわざ日本で逆輸入している事になる。爆買いツアーは別として、海外からの観光目的も少しづつ変化してきている。本来の日本を見たいらしい。今の日本国内でそのような処は首都圏などでは少なく、田舎の農山村の風景だったり漁村だったりするのだろう。本来、観光は創り上げる以前に、もともと在るものなのかも知れない。外国の真似をしたり、開発が暮らしを豊かにすればするほど、外国から観れば「日本らしくない魅力のない日本」になるのだろう。中国経済の急激な変化以前に、一時のビジネスに頼らない本来の海外からの観光受け入れへの考えも、転換が必要かと思う。
匿名
前職では、名古屋と東京に有名旅行業を対象にした大所帯のセクションがあったが、紛争などで日本国内からの海外旅行が下火になって、地方に分散していた旅行会社の営業所も縮小となってセクションを解体する事になった。中国・アジア圏からの旅行者が急激に増え出したのはその後しばらくしてからだった。つまり旅行業界で多用されている「インバウンド」と言う訳だが本当に日本側の旅行関係業者や行政機関が働きかけて旅行者を増やしたのだろうか。たぶん旅行者は地元の旅行業者に依頼して自然発生的に増えたのではないかと思う。国内の業界関係者が言う「インバウンド」とは少し意味が違うのではないかと。しかし反日感情が今も残ると言われているアジア圏の人達が、なぜ日本に大勢来るのだろう?それは、他国が今日まで何等かの戦闘を繰り返したり、巻き込まれたりしている間に、我が国は「戦争放棄」とばかりに、終戦後70余年をかけて社会環境整備を進めて来た結果ではないかと思う。その差が結果的には、比較的治安が良く、比較的清潔で、比較的おとなしく親切な国民性、比較的几帳面でマナーを身に着けた国民、信頼できるメイドインJapan商品や製品、独特のもてなしの流儀、比較的安心できる国として海外の人を呼ぶ要因になっているのだと思う。従って旅行業者の努力や、行政の観光事業支援など以前に、大方のベースは日本は既に持ち合わせている。今後、武器を携行した自衛隊の海外派遣などが増えれば、70余年かけて築いた今の日本への見方にも変化が現れるかも知れない。