役人の手柄づくりエトセトラ。
札幌市の見積もり競合はひどいものである。民間に赤字で「死ね」と言わんばかりの金額を提示しないと落札できない。儲けさせてくれないのだ。彼らの言い分は「そうなら、はじめから参加しなければいい」という理屈だ。特に担当者が前任者より、同じ仕事を安く請け負わせると手柄になるらしい。そして不正が無いよう、管財課の人間を立ち会わせる。
昨年、一昨年の落札金額はそれぞれ参加企業がわかっているわけであるから、それより高い金額で落ちるわけはない。税収不足や一般会計予算で経費を節約する至上命題で「自分たちの給与減額」は「組合との同意事項もあり、市長も組合の支持のもとなってる関係で敵に回せない」からしわ寄せはすべて出入り業者が儲けを吐きだして受注する結果になる。
一般競争入札は公平を装う「民間虐めの仕組み」に化しているが市民にはわかりにくい。これなら決められた金額を順番に民間参加者会社に回したほうがいいと筆者などは思う。民間企業の力が弱い札幌の経済体質を見て、落札は会社の運転資金と実績作り、別な仕事で儲ければいいということ折り合っている。
私が参加した公的施設の広告についての入札風景を紹介しよう。6社。1社はもうテレビスポットをもらっている(どうしてなのかわからない)から定価金額を入れるよう指示されているのか取る気はない。もう1社は「参加しないと次に呼ばれないから形式的に参加。わざと定価以上に制作費を上乗せして入札」と私に言ってくれた。私は定価より10%引きで札を入れた。
入札金額発表5番目がD社で本命、ずっと落札し続けている。5社中最安値を出してきた。担当者は満面の笑み。しかし6社目Y社がD社よりわずかに安い金額で札入れ。D社の担当者は驚いた表情。入札終えて、車の中から会社へ結果報告するD社。不安と血が頭に昇ったのか暗い。こんな光景が市町村のまた道庁の一般競争入札現場で毎度毎度繰り返される。不正がないよう管財課が立ち会う。
しかし、入札の中身(請け負う企業の経費と利益の算術)を市民と道民が正確に知ることは少ない。国政レベルでも同じような一般競争入札が実は行われている。メーカーは、最初は損であってもそれに付随するところで利益をいただくという奥の手に出る。横浜か横須賀で1円である市のシステムを落として、具体的なシステム構築でがっぽり儲ける奇策に出たITメーカーがあった。一般競争入札の隙間をねらったものだ。
パソコンプリンターメーカーの人が「機器は無料で配っていい。インク代で儲ければ十分ペイする」と豪語していたのを思い出した。
話題を戻すと、民間が適正な利潤が確保できない仕事ってそれは仕事と呼べるだろうか?儲けたお金を民間会社は社員の給与から自治体と国へ税金を納めて、会社としても法人税を納めて、お金を循環させる。とにかく内向きで、民間の人間を見下す習性はなんとかならないか。民間で最低10年不正をせず、勤め上げた人が役人への道をゆくようにするとずいぶん風通しのいい社会になると思うがどうだろうか。
札幌市の交通局も地下鉄の中釣り広告や駅中の壁面広告を指定の広告代理店へ丸投げして、黙っていも決められた売り上げが予算通り上がるシステムを構築している。寝ていても売上を確保できるというわけだ。筆者もラジオや新聞の買い切りをしたことがあるけれど、埋まらないと、本来は利益になった金額を吐き出さないといけない。空白では出せないのだ。大赤字に成り得る仕組みだ。
媒体は「そんなことはどうでもいい、そちらの都合でしょう。こちらが予算通りの数字が上がればいいのだから、黒字を多くしたければ、マージンをたくさん差し上げているのだから、そちらで赤字にならぬよう努力してみてはいかが」でチョンである。
札幌ドームも黒字の札幌ドーム側(日ハムのお蔭で黒字化している)と赤字の日本ハムファイターズ。何度もドーム側に値下げの交渉をしても、首を縦に振らないドーム側に日本ハム本社が怒り、本拠地移転を言い出した背景に札幌市役所職員のトップを含めた融通のなさ、天下り先として甘い汁を吸えるドームしか考えない典型的な田舎役所体質がほの見える。楽天やソフトバンクみたく全部日本ハムへ売却すれば済むことでしかない。札幌っこだった私としては、ひどい市役所にしたもんだと怒鳴りたくなる。道民から生意気だとして嫌われた旧たくぎん行員に似てきている。
丸投げ産業。
交通広告主体の代理店に2年ばかり居た。元々は旧国鉄の全国の広告を一手に仕切っていたのだが、JRの民営化とともに「JRエージェンシー」と言う旧国鉄からの余剰人員や天下りと倒産した地元広告代理店の経験者で構成されたJRのハウス・エージェンシーが出来た途端、全ての広告代理店もJRエージェンシーを通さなければならなくなり(つまり中間利益を得るためのJRのトンネル会社)他の広告代理店と同じ立場となり、利権を失ってしまった。当然ながら利益も少ない経営悪化となった。当時、札幌市の交通局の指定業者にもなっていたが、年間数千万円もの買い切り枠を埋める事は出来なかった。これは駅貼りポスターや地下鉄の大型ポスターボードや、電照式看板や地下鉄中吊りポスター広告の買い切り枠そのものの媒体価値の低下と時代遅れの買い切り制度が大きな原因だった。また、スポンサーが興味を持てない原因は、魅力が無い、効果が薄い、広告費が高い、前時代的などだ。北海道の広告事情を知らない本州企業には騙せても、地元企業は騙せないし買い切り枠は空き枠だらけとなった。そんな問題を共有している市の交通局指定広告代理店十数社は僅かな利益を分け合いながらもお互いの空き枠を埋める「回しの回し」とか呼ばれる悲しい努力をしていた。そんな或る日、僕の所属する広告代理店が買い切り枠の内、最も効果の薄い駅貼りポスターの買い切り枠百数十か所を大挙返上する事になった。僕が矢面に立って交通局に出向くと、会議室に6名ほどが待ち受けて一語一句を議事録よろしく速記された。当然、交通局にとどまらず、指定業者間にも猛反発された。一部のとりまとめ幹事社にも何度も足を運び手順を踏んだが、担当が聞いているにも関わらず、支社長が聞いていないと激怒し「ウソつき」呼ばわりまでされた。これまで続いた交通広告の赤字補てんも限界と判断。背に腹は代えられず、長年、市に奉仕?してきた指定業者を降りる事に決めた。そう申し入れると更に呼びつけられ、会議室でまた罪人のような扱いを受けた。さらには交通局職員を交えた指定業者十数社参加の会議席上で釈明とお詫びの演説を強いられた。これで終結するならと我慢したが、腑に落ちない裁判のようだった。今では買い切りの空き枠も無くなり、健全経営に戻っている。交通広告枠の代理店買い切り制度は全国でも札幌のみになっている。時代は既に変わっている。札幌の交通広告も、ようやくデジタル化が進んできた。新聞社も電波媒体社も交通局も机に座って、広告代理店に丸投げも、時代遅れかも知れない。そして広告代理店も媒体のバック・マージンだけでは今後、食べては行けなくなるのでは無いだろうか。
官依存症は税依存症。
札幌ドームに代わる「日ハムドーム」構想がささやかれると、早速、市の交通局やJRが喰い付いた。新駅を作る提案だ。しかし、かつて僕が真駒内や自衛隊前駅を利用していた経験から言えば、あの短い区間に新駅を作ったとしても候補地とする真駒内公園まで徒歩20分も、歩くことが遅い人で30分も掛かれば全く意味が無いと思うし、他にも市や道の冬季五輪用旧施設と抱き合わせたい思惑が見え見えだ。結局市や道はそれに税金を使う算段なのだろうが市民や道民に負担を掛けるだけだ。一方、JRも手稲辺りで提案しているようだが、いずれも観客の事より、赤字経営を埋めたい考えしか見えない。エコだから公共交通機関を使うよう呼び掛けても、北海道は元々交通機関整備が遅れていて、どこに行くにもクルマの方が便利な訳で、駐車場を規制した施設は地元の意向に沿って居ない。地下鉄、JRがそれほど不便な訳だから、安くて広い敷地なら何処でもいいのではないかと思う。行政のこれまでの交通整備事業の遅れは明白で、日ハムだけでなく、他社も協力して、民間企業数社が集客できる施設を作れば、人も動き、行政も動かざるを得なくなるだろう。僕は市や道に頼らぬ、民力が試される時が来たのではないかと思う。
排他的地域。
某新聞の北見版広告について僕の取引先から問い合わせがあったが、北見版は北見に拠点を置く広告会社しか扱えない新聞社ルールがある。もし北見に拠点が無い僕の会社が掲載となれば数社の広告会社を経由しなければならない。排他的なルールだ。僕は「地元で頼んでください」と断った。全く利益を産まないからだ。北海道は未だ鎖国状態だ。これでは経済は上向きにはならないだろう。いつまでたっても。
排他的地域。
昨日の夜、某新聞の北見版広告の続きの話で、取引先から電話があった。地元に拠点を置く広告会社は「土・日・祝」と三連休で、広告原稿制作が間に合わないから、僕への制作要請だった。デザインと東京のメーカーとの校正やCIチェックなど面倒な部分を僕がする事になったが、扱いは貰えない。(貰ったところで利益は発生しないが?)不本意な仕事に休日出勤(僕は貧乏暇なし年中無休だが)となった。予定外の仕事を優先させれば、先約が遅れる訳で、8月にオープンを控えた心臓・血管系の病院開業の細かい作業にも支障がでるとなれば、三連休だの海の日だのと浮かれては居れない。しかしコネクションだの人脈だのシキタリだのルールだの、資本系列だのと、ビジネスを捻じ曲げる事は数知れない。新規開業の病院も大小看板の受注や、細かな印刷物や総合的デザインなどの相談に乗っては来たが、新聞広告となると人脈が顔を出し、他の広告会社の扱いになるとの事。この事は掲載の相談で、某新聞社を訪問した時に聞かされた。これも、北見同様、某新聞社も一枚噛んでいた。業界のシキタリや資本系列や人脈は今後も蔓延るのだろう。