リオ五輪が始まり、国威発揚月間である。トラブル続きの東京オリンピックも近い。リオの治安や施設運営、公務員への給与を3カ月も遅配して、オリンピックだけ税金負担で施行しようとする当局へデモをするのは当たり前である。福島原発の放射能漏れが、汚染水の漏れや、燃料棒を持ち上げて事故のないよう移動する作業が続いていて、何が起きてもおかしくない状況が続いているにもかかわらず在京のテレビ・新聞はスポーツ浮かれポンチみたいな番組・紙面ばかりなので、オリンピックを俯瞰して書いてみた次第である。2020年の東京オリンピックを日刊ゲンダイは当時、国威発揚に熱を上げた世代が、あの感激をもう一度、あの元気なころをもう一度と夢見る「バイアグラオリンピック」と命名していた。ずいぶん高いバイアグラを買ったものである。1964年、筆者は中学2年生であった。黒澤明がオリンピック映画を作る予定だった。彼の提示した5億円を超える制作費が高すぎることで市川昆監督が2億5千万で受託、25億円の売上で黒字だというが、中学・高校生は文部省の学習の一環で劇場へ税金で鑑賞していたから、自分でお金を出して見に行った人がどれだけいるか、詐欺的な興行に近い。私も学生服を着て無理やり札幌日劇で鑑賞した。

オリンピックは世界のお荷物イベント!?

 中止 1944年 ロンドン イギリス
14 1948年 ロンドン イギリス
15 1952年 ヘルシンキ フィンランド
16 1956年 メルボルン オーストラリア
17 1960年 ローマ イタリア
18 1964年 東京(予算を遥かにオーバー) 日本
19 1968年 メキシコシティ(流血の大規模デモ発生) メキシコ
20 1972年 ミュンヘン(選手村でテロ事件発生) 西ドイツ
21 1976年 モントリオール(開催費用は予算の8倍。大赤字) カナダ
22 1980年 モスクワ(ソ連のアフガン侵攻でボイコット) ソ連
23 1984年 ロサンゼルス(市自身は開催拒否、詳細は下記へ記す) アメリカ
24 1988年 ソウル 韓国
25 1992年 バルセロナ スペイン
26 1996年 アトランタ アメリカ
27 2000年 シドニー オーストラリア
28 2004年 アテネ(当初予算の16倍)後にギリシャ財政危機 ギリシャ
29 2008年 北京(施設建設で強制的な立ち退きで泣く住民) 中国
30 2012年 ロンドン(当初予算の5倍) イギリス
31 2016年 リオデジャネイロ(ブラジル大統領辞職・五輪開催反対デモ) ブラジル
32 2020年 東京(森VS猪瀬、国立競技場、エンブレム、舛添都知事) 日本

 

オリンピックを一覧表にしてみた、コメント入れて。『ニューズウィーク』2016年2月2日号に『五輪はもはやお荷物なのか』という特集記事がある。オックスフォード大学経営大学院が1960年~2012年まで開催された五輪の予算を調査したものだ。予算資料が非常に入手しづらく信頼に足りる数字が難しかったが、すべてのオリンピックが予算をオーバーしていた。平均179%だ。しかも、オリンピックは政治そのもの、国税の大量投下がないと成立しない。アテネなんて野球場を無理やり作って、いまはどうなっているか。日本のマスコミは監督は誰だとか選ばれる選手はああだこうだとうるさいが。

奇妙なことに64年の東京大会を含む3分の1の大会ではデータを入手できない現象があった。税金を大量に投下するイベントなので『お金の収支を隠す癖のあるイベント』だということ。なぜなら、明瞭にしたら国民が怒る・『やめてしまえ!』という運動に発展、その責任を問われるからだろうと推測する。

唯一、ロスアンゼルス大会は、当初、市自身は立候補を拒んだが、IOCは民間団体でも立候補できるように規約を急遽変更して、広告代理店を大幅に関与させて、放映権料を民間企業の負担させて(電通の関与が始まり、旨みを知る)、さらにロスアンゼルスはインフラが元々整備もされていて、施設建設費が少なくて済み、2億1500ドルの黒字にした。商業オリンピックの始まりだ。

IOC委員も各種接待、金銭授受で開催地競争が激しくなればなるほど儲かる仕組みだ。開催都市視察と名を借りての大名行列で、袖の下を渡す国も多いし、それをまた『隠す』。国自身が金を渡せば問題になるから、広告会社を経由したり、広告会社は直接責任が来ないようダミー会社を使う。危なくなったら潰せばいい。すべては結果オーライでいこう。しかし、新施設は壊さない限り、維持管理費が税金や自治体の負担で財政を圧迫し続ける。ゼネコンや電通は知らぬ顔である。儲けたら後は野となれ山となれだ。日本中でバブル期、作られたテーマパークが不動産や建設会社が地方財政を猛赤字化したことを思い出す。企画書では、開催終了後は、こういうイベントで使えますと文章を加えてJOCの歴々の素人を煙に巻くのはお手の物。

今回のフランスから発表された東京の誘致運動での金銭渡し疑惑はたぶんこの例だろうと思う。しかし、これには税金が投入されている。招致運動の企画書、制作物には電通が強く関与している。テレビ局がどこまで事件を掘り下げられるか見ものであるが、たぶんできないだろうと思う。トヨタやKDDI、パナソニックなどテレビ局のゴールデンタイムがほぼ電通で買い占められ、BS放送のCM枠も抑えられてるから、できるとしたら経営の半分を購読料と不動産収入で持っている新聞だが・・・。

しかし、この時代にまだ『平和の象徴 オリンピックって必要なの?』という問いかけだ。広告会社とゼネコン、警備会社、ホテルや飛行機会社、テレビ局(バカ高い放映権料を主催者に払うから入るCM代金と釣り合うか微妙)。残るのは借金のヤマ。次々と世界で難民発生、中流階層の縮小、貧民の増加の時代に、現実に目隠しをするイベントやってていいのだろうか。もう世界は目を覚ましてもいいと思う。各競技の世界大会があるわけだから、そこで記録を競ったら安くて済むし、冬のオリンピックは中止した方いい。スキーをしている国は圧倒的に少ない。ワールドカップがある。

しかし、サッカーのワールドカップの主催国決めやFIFAはIOC以上に腐臭を放っている。元アスリートがJOCやIOCやFIFAの理事に沢山なって生計を立てている。現役のときと違って、共通は人相が悪くなってきていること。悪相にはなりたくないものだ。

olympics201936

先日急死した建築家サハ・ハディト女史、前の国立競技場のデザインを巡る裁判も解決していない(国立競技場突然の不採用の件が、心労で心臓病併発の引き金になってる可能性あるし、現在、ドケチ醜悪なヘナマずるい升添都知事がメディアを賑わしているが、これも東京オリンピック税金不明朗大事件を矮小化するための政治的な関心移動戦略の匂いも筆者にはする)。

  1. とは言え、既に東京オリンピックの予算はどんどん使われてしまっている。もう手遅れだ。それに莫大な無駄金もドブに捨てている。そのムダ金からも利益を得ている中間業者もウヨウヨいたりして、実現不可能な施設計画なども最初から計画的ではないのかと疑いたくなる。エンブレムも猿芝居だった。一般公募で騒ぎ立て、結局は最後は専門家の作品に落ち着くところがキナ臭い。ただ単に関係者たちの正当性を演出しているゼスチュアーに過ぎない。オリンピックぐらいは各ジャンルの専門家たちが手を挙げ、社会貢献してボランティア協力のもと、最小限の予算(材料費)で立派に開催できれば世界のお手本になれると思うし、専門家たちの世界的知名度も上がる訳で、無償の代償に彼ら彼女らにも開会式で金銀銅メダルをあげれば名誉も保たれるのではないだろうか。選手たちのユニホームや靴や競技用具や持ち物にも既に各メーカー名やマークが入っている訳で、選手たちはF1カーよろしく、走る広告塔になっている現実から各スポーツメーカーからの開催協賛金も得られると思う。TV放映にはCM予算が必要なのは判るが、広告代理店も制作会社もマスコミも、社会貢献の精神を大切にして欲しい。スポーツマン・シップで。

  2. TVで五輪番組が流れている。平和だ。ニュースでは中国の戦艦が大挙して毎日のように我が国の領海を侵犯していると報じている。北からはミサイルが男鹿半島250km先に打ち込まれたとも。ベルギーではまたテロだと。一体世界中で何をしたがっているのか疑問だらけだ。喧嘩を売られて即、買う時代ではないが、現場ではいつ何が起きるか判らない状態にもなっている。アテネのコロシアムではないが、五輪のメインスタジアムで戦わせた方がいいかも知れない。敵視している各国の元首たちが素手で国技か得意の種目を使って制限時間内で。それならミサイルや核開発よりも無駄な国防予算のために国民を苦しめなくて済む。プーチンは柔道?、中国は拳法、韓国はテコンドウ、北は?、日本は柔道?相撲?。まず、それには強い身体能力の国家元首を選挙で選び直さなければならないだろう。いくら強くても、モンゴル出身の力士ではまずいが。

  3. リオの開会式。リュックを背負った少年がスポットライトを浴びてシナリオ?が始まった。演出が何となく不自然すぎて変?で見る気が失せてしまった。リオらしく、お得意のカーニバルだけで良かったのに。その後の花火はやり過ぎだと思った。どこかがエスカレートすると連鎖で次の開催地がまた無理をする。悪循環だ。五輪のセレモニーは演出し過ぎと思う。ひねり過ぎたり、作られ過ぎた演出に感動は無い。もうシナリオが出来てしまっているだろう東京五輪が心配だ。

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