一度教えられたことは、取れない。
長く生きていると気づくけれど、両親や教師や企業の先輩から学んだ(強制された)ことが、取ろうと思っても努力しても思うように取れない癖(教え)が多々ある。手書き文字もそうだ。まあ文字は自分で作る癖ではあるが。
食卓マナーさえ何も注意されないで育った筆者は毎度、妻から注意される。テーブルにひじを置くな、箸で皿を動かすな、何種類もおかずがあるときは一点食いをせず、万遍なく食べなさいなど「親から注意されなかったの?」「いや、何も」。約35年言われ続けて、さっぱり改善されていない。手掴みで漬物を取ることもあるから「あなた文明人?」とまで言われる。「だってインドやアフリカでは手で食べてOKだよ」と私。「ここは日本よ。」「といっても同じ地球の表面ではないか」。
言われた時は、マズイナと正直思うが、体が覚えてしまっていて、本能的に動いてしまう。だから、昔からお見合いの席で一緒に食事をすると、相手の育ちがわかると言うが、筆者がもしお見合いでもして女性とその両親と食事をしたら「アウト」で破談は間違いない。
先日の中学のクラス会で体育の教師が女子に大人気で、私から見たら軍国主義の権化みたいな男。教師机に腰かけて竹刀を持ち、ヤクザ風な風を吹かす教師であったが、戦前の気風はそのまま戦後の教室に吹き込まれていた。さらに仙台の大学を出たばかりの高校の教師も張り切り過ぎて生徒にビンタ攻勢をして顰蹙をかった。30年後、高校のクラス会で15名の出席者の前で頭を深々と下げて我々に謝ったが、叩く癖も彼にとっては取れない癖であったろうといまなら思う。叩いた担任も機会があれば謝りたいと30年思っていたんだ。
私の母からの教えは「日本の社会は嫉妬社会だから、他人からみて羨ましがるものを持ってはいけない」と地味な暮らしをアドバイスされいまも続いている。父からは「絶対に他人の連帯保証人にはなるな。頼まれたら1万か2万を上げて返さなくていいと言え。株はしてはいけない。」と。父は南満州鉄道からの引揚者で、本土に帰ってお金に困った知人からの依頼があって悩んだことがあるらしい。
こういう知恵というか教えは、食事の作法やしつけはなかった筆者だが、不思議に学校での学習は忘れても、親の言いつけだけは守っている。
母が生きていたとき、レストランへ連れて行って、最初に前菜が出てきた。野菜だらけだ。母はそれを全部私に押し返して「食べなさい。私食べないから」。それを見た妻が「あっそうか、夫の野菜嫌いは母親から始まっている」。それが娘から孫へも伝播していて、当分、この遺伝子は消えそうにもないが、多少努力して、できるだけ親の好き嫌いは減らすのが賢いしつけかなと思うが、難しい。しかし、何かいい教えや知恵が子供や孫へ伝わってると思いたい。自分の口癖『情けは人のためならず』くらいは娘と息子の記憶の奥にホコリを被ってもいいから残って欲しいものである。
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ゲーマー。
家族団らんの時間が、どんどん少なくなって来た現代。夫婦も子供たちとも行動をとものする時間さえ少なくなっている。教えたり教えられたりするのは幼少期だけだ。昨日、仕事で或るレジャー施設の館内を歩いていてゲームセンターを通り抜けた。派手なファッションの若い母親たちと小学低学年までの子供たちがゲームを楽しんでいる。ここはお金が全てだ。傍にいる親が公認のゲームと言う訳か、子供たちは思う存分エスカレートしていた。そこには父親の姿は稀だった。子供たちがゲームから教えられるものは、将来、一体どれほどの影響をもたらすのだろう。家族団らんや一家総出での野外リェクリェーションなども少なくなってきたようだ。
散らかし癖。
癖はなかなか治らない。我が家の双子は小4になっても寝て居る時に親指をしゃぶる。気づいて辞めさせるが、未だに治らない。合宿や集団での宿泊などの為にも早く治してやりたいものだ。小2の女児のオネショは2年生になって治った。しかしご飯を食べ終わっての片づけや食器洗いもなかなかやらない。集団寮生活経験者の僕にはとっても我慢出来ずに毎朝怒鳴っている。彼ら彼女らが自ら後片付けをするようになるのは一体いつの事やら。成人すればきっと僕の小言も理解できるのだろうが。
七癖。
教えられてやっているとは思えないが、立派な大人でもみっともない癖を一つや二つ持っていたりするものだ。他人は直に注意もしてくれず、見て見ない振りで陰で笑ったり、迷惑がっている。鼻くそ丸めて、そこいらに放置したり、人に向って鼻をかんだり、数えあげればキリがない。若い女性たちと同じ環境に居れば、本人自身も少しは気にするとは思うが、我儘に育った時の癖はなかなか治らないものだ。
カッペ男。
「カァ~ッ!ペッ!」、「カァ~ッ!ペッ!」とタンを吐き出すような癖の50男を、前々職までに何人も見た。狭いオフイスの中で、それをやられると気分が悪くなる。人前でやらないでトイレの個室でも行ってくれればいいものを、本人は毎日のルーチンだ。そんな奴に限ってそのティッシュペーパーを傍らのゴミ籠に無造作に捨て、彼のゴミ籠は溢れんばかりだ。勿論自身では捨てず、掃除する人は気味が悪がっている。あなたの身近にも居ませんか?「カッペッ男」。
ムショ帰り?。
復員した兄がお椀を持たずに「おみおつけ」をすすると言っては母が注意していた。そんな癖は軍隊で習ったのだろう。そう言えば、僕も寄宿舎生活で身に付いた悪い癖があった。当時は大食堂でアルミ食器だったが、それにみそ汁やスープが入ると熱くて持てない。そこで、左手の親指・人差し指・中指の3本で食器の上の部分のヘリを持つ知恵が着いた。普通にやっていた癖が、アルミ食器でなくても、その後も出てしまう。ある人に言われた事があった。「その持ち方は刑務所内での持ち方だよ」と。「ムショ帰り」と間違えられると警告されてからは、その持ち方を止めている。