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世界じゅうの人にとって、生き延びるだけで大変な事業をしていると思う。そんなに筆者は労苦の多い人生ではなかったが、心筋梗塞にはなったが、30%の心筋壊死で済んでラッキーな生存が続いている。


一寸先は全くわからない了解予測不可能という共通な地盤に、生まれたての赤子から100歳を超えた老人まで、いまは呼吸をしている。自然の災害や事故や病気、戦争の中で、生きているホモサピエンスは、毎日大変な事業を課せられている。赤ん坊は飢えないようにミルクを欲しがり、お尻が濡れると泣かないと親たちは気づいてくれないこともある。老人にしてもおむつを当てがわれ、恥ずかしいポーズで他人に尿や便を取ってもらう。生き続けることは、かくして必ず他人のお世話になるわけであるが、しかし、誰かの世話をするという側面も大いにある。


先日、NHK教育テレビでアフガニスタンで灌漑工事を指揮して、20数キロに及ぶ水路を15年以上にわたり作っている医師中村哲さんのドキュメント再放送を見ていた。福岡に本部を置くベシャワール会は国の支援を受けず、全額寄付金で活動している。旧ソ連や米軍の爆撃でいままでゴロタ石で荒涼な水気ない地域を、灌漑用水を引くことに成功して、村人たちが続々と帰村して、小麦や米、砂糖キビまで作れる青々と茂った地域に一変させた。


中村医師は『米軍の傭兵になったり、タリバンの傭兵になるのも、ISの兵士に志願していくのも、本当は彼らは行きたくない。家族を養うために行っているのです。街中で盗みをするのも生きていくため、家族を食べさせるためだと』言う。『だから、この地域が農産物を作れる、食べていけるところにするのは平和をつくることにつながる』『子供の病気も減るし、灌漑用水路工事は医療の延長にあるのです』。canal_104


蛇口をひねれば水が出る、トイレでさえ飲める水を使う。ペットボトルで贅沢に銘柄指定で軟水だの硬水だのバックに入れて暮らしている私たち。『医療の延長に灌漑用水工事がある』。江戸時代からの日本の灌漑工事に使われた『蛇籠』(金網に石を詰め込み籠を作り並べる)技術を教え、水路の壁にすることを指導。工事の最中、何度も米軍のヘリコプターが上空を旋回している映像もあった。それにもめげずに毎日毎日水路づくりに励み25キロ作ったアフガニスタン人も凄い。


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水路開通式で地元知事から担がれる中村哲医師

水路の両側には中村医師は柳を植えた。成長も早くて木陰を作りやすく灼熱の地に涼しさをつくる試みだ。こういう人にノーベル平和賞を上げて欲しいと思った。『生き延びるだけでも大変な事業なんです』。中村医師は、村人の要求であったイスラム教徒のためにモスクも作る。学校も作った。モスクができて村人たちのココロが落ち着いてきたと中村医師は言う。この灌漑技術をアフガニスタン全土に普及させるため、手引書も作っていた。

  1. 平和ボケ老人。

    今の日本は、昔を忘れている。今現在を当然のように生きている。昔話をすれば笑われて「古い」とさえ言われる。ほんの数十年前の現実すら見ようとしないで、新しさだけを追いかけている。まるで、その先に明るい未来が待ち受けているかのように錯覚している。今日も一日が始まった。すべてが無事な一日に終われば良いのだが。

  2. 一体?いつまで生きられるのだろうか。後、何年と自分でわかれば残り時間を何に使うのだろうか。今は漠然と生きているが、誰も教えてくれない自分の残り人生を他人のために尽くす人は、どれほどいるのだろう。大抵は、殆どは、自分自身の事しか考えずに生きているに違いない。他人を踏み台にしてでも名声を残そうとする者も居れば、目立たないところで黙々と見返りなど要求せずに他人に尽くす人生もあるのだろう。そんな姿のいずれかは、将来有る今の子供たちの目にも残され、引き継がれて行くに違いない。

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