親の意見となすびの花は 百に一つの無駄がない。
9月11日に書いた筆者の親父からの言葉で『保証人になってはいけない』という言葉に反応した知人から返信。『会社の同僚で保証人になってくれ、金を貸してくれと言われて嫌な思いをした』とメール。競馬狂いであった。万馬券を当てればすぐに返せると本人は思い込む。
博奕(宝くじ含めて)は胴元にならないと100%儲からない仕組みだ。それを知っていて多くの人が人生をボロボロにしてしまう。アル中に似ているが、ドストエフスキーもトランプ狂いだし、麻雀で最後は自分の妻を賭ける阿佐田哲也『麻雀放浪記』もある。そんな妻は要らないと言われたらダメだけど。フランスの数学者ポアンカレが『博奕は常習にしていると必ず負ける』と数学的にも証明されるらしい。ということは『勝ち逃げ』『偶然の勝ち』だけが許されるということか?
宝くじで数億円当たっても引き換えに来ない人が相当数いるという。1年待って換金に来ないと全額、国庫に入る。無かったと思えば当人の人生は変わらない。競馬は農水省の管轄、宝くじは自治省、競艇は国交省。競輪とオートレースは経済産業省。文科省もスポーツ振興くじ(toto)を管轄している。パチンコは警察と密な関係だ。遊技業協会にも警察OBが多い。刑法で『賭博及び富くじは犯罪行為』と規定している。
しかし、役所は例外規定を設けて、自分たちの天下り先をあれこれ口実(地方財政の増進云々)をつくっては法律を作るのが大好きだ。各地に様々な車を提供して、これは〇〇〇〇から支給された車ですよ、皆さん、お役に立っているでしょうと見せつける。それ以上に役人たちが掠め取っているのであるが、それは見えないように隠す。(癖から民族の特徴を分析した江戸時代の漢学者富永仲基は日本人の癖は隠すことと書いた)建前の日本語なら任せておけだ。国民から税金を取るほかに、人間の賭博への情熱を利用する。
筆者の住む街の近くに社台ファームや社台スタリオンがあるので、ディープインパクトの放牧風景を見に行く。一頭の馬にシンジゲートが作られて種付け馬として利用されている。種付けをするたびに、投資家にお金が入ってくる仕組みだ。人工的に掛け合わせてイギリスで作られたサラブレッド。ゲームの王国イギリス。トランプにも階級社会が出ていて『王様(キング)』の絵まである。しかし、中産階級の暇つぶしとして進化した競馬の害は予想以上に多いし家庭崩壊を招いている。
私の知っているだけでも家庭破壊、離婚、孤独死、借金地獄、夜逃げ。先日も知人が筆者とお茶したいと言うので会ったら、手にスポーツ新聞の競馬欄を丸めていた。『金を20万貸してくれないか』。『給料前で5000円しかない』と断った。これで3回目だ。私もパチンコで500円玉が7万円になったことがある。しばらく通ったが最後は大赤字。
しかし、なんといっても最大の博奕は国の年金基金だ。財務省の博奕である。運用を任せている国内・国外の証券会社・投資会社に6年で120兆円を大損させている。最大の博奕である。大き過ぎて実感できないが、誰も責任を取らない。せめて運用している会社名と預けている金額、損した金額とその説明文をテレビと新聞で毎月速報で詳しく報道して欲しいものである。(これも隠すのか)戦争に従軍した私の父と妻の父(中国戦線でひどい目にあった)は繰り返し言った『国家なんて信用してはいけない。100%国民を騙す』。戦死した兵士に掛けられていた徴兵保険は結局、誰にも払われず、生命保険会社は丸儲けして戦後を迎え、そしてバブル期、何社も倒産をして外資に売られた。
官僚大国になってしまって、そして誰も責任を取らない。薬害エイズや水俣病やイタイイタイ病もそうだ。江戸時代なら市中引き回しの上、極刑に処するところがノウノウと国民を見下し、弁解の日本語作りに精を出している風景が想像される。孤立していく日本外交の舵取り外務省の失政ともに。そしてそれに協力する高給取りのメディア。博奕の話から外交の話にいつのまにか変わってしまった。『親の意見となすびの花は、百にひとつの無駄がない』
借金の型。
「お金を貸す時は、最終的にタダであげるつもりで貸さなければいけない」。でも、一応、証文は作って返済期日も明記し、自筆サインと捺印をさせて貸さなければいけない。例え返済されないお金であっても筋を通しておく事が大切だろう。もっと言えば、借金の型に、そいつの一番大切なものとの引き換えを明記しておくこともあるだろう。返済できないだろう事を十分考慮して。
保証人。
或る会社の札幌営業所を立ち上げるために僕に話が持ち掛けれた。当時の副社長からの依頼で引き受ける事になったが、東京から若い営業マンが先行チームとして送られてきて開設準備室もできた。ところが責任者として雇われる筈の僕の雇用時期が一か月も以上も後だと言う。どうやら、雇用を一か月でも遅らせた方が人件費(給与)としての経費が浮くと考えたのだろう。そんな中で、若い営業マンから僕に電話があった。「所長!社用車の契約をするんですが、保証人になってください」と。僕は「まだ本採用もされておらず現時点では所長でも無いので保証人にはなれないし、例え本採用されたとしても会社名義の車なら総務部長に言うべきでしょう」と。彼はシブシブ「所長職は決まっているのに?ダメですか?」と怪訝そうな声だった。彼が東京から札幌へ転任する条件として社用車を与える約束がなされていたようだ。僕自身は本採用後も自分の車を使用していた。社用車は彼専用だからだ。