ジェームス・ジョイス(目が悪い)

●一日はまるで 人の人生

●すべての一日には 一生と同じ価値がある

●ひとつの神話 あらゆる歴史と同じ価値がある

そうだ!これをテーマに小説を書いてみよう!一日のできごと、ダブリンの風景、そこに暮らす人々を文章で微細に描写する。そしてそれらを神話に対応させるんだ。(漫画で読破、ユリシーズ374p イースト・プレス)

1904年6月16日、アイルランド独立前の1日の日常風景(登場人物7人)の内面を含めて小説にしたジェームス・ジョイス。カトリックのアイルランドがイギリス国教会(プロテスタント)から大差別を職業や結婚において受けてきて、独立運動をするがことごとく失敗してきた歴史がある。首都はダブリン。映画好きの人は「ダブリンの街角で」という淡い恋の佳作映画があるのでそちらもお勧め。IRAはいまもイギリス領北アイルランドを合併しようと武力闘争をしている。

ダブリン市内


それはそれとして、ユリシーズに書かれた3行の言葉。考えてみると「今現在は過去を含み未来を包含する点(?)みたいなもので」あることは間違いない。「一寸先は闇」も含まれている現在かもしれない。そうなると、今ここにいるという現実がどれほど重くて大事かがわかるというもの。「会える時に会っておいて良かった」とか「あのとき1本の電話をかけておけば死なずに済んだかもしれない」と後悔したり、今・現在は「過去や今や未来の起きた(起きる)事件を」含んでいる。「すべての一日には 一生と同じ価値がある」。


筆者にしても、高校の同級生との待ち合わせ時間に遅刻しなければ、現在の妻には再会せず、未婚のまま終わった可能性が高い。遅刻してから札幌駅の階段でぶつかったのである。横に長い階段だから、どちらかが端を歩けば会えなかった。そういう一日もあるけど、しかし、「すべての一日には 一生と同じ価値がある」ので、その日を全力で生きることは、後悔の少ない、いつお呼びがきても「じゃ、あちらへお先に」と行ける準備をしているようなもので潔い。


「ひとつの神話 あらゆる歴史と同じ価値がある」は、「あれっ、あの人の発言は 昔 戦争を煽った軍部の発言にそっくり」とか「アメリカのトランプ発言がKKKや旧約聖書や新約聖書の中にある、ある宗派を小馬鹿にする発言にそっくり」とか、どうも歴史を繰り返していて、さっぱり過去から学ばない、下手したら動物からさえ知恵を学ばない(同じ種は殺しあわない)ことがわかる。神話以前の生命の誕生以来のことかもしれない。

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