1960年大阪生まれの精神科医の和田秀樹さんの新書。副題が一億総「自己責任」時代を生き抜くと付けられている。生きにくい時代の若者への応援歌にもなっている。自分を責めることをしないで、助けを求めなさい。どんな場面でもひとりしょいこまないで楽になりなさい。そのかわり誰かが困っていたら無視をしないで「MAY I HELP YOU」の気持ちで「情けはひとのためならず」を実践してできるだけ助けてあげようと。


職場で元気がなくなる人が出れば、普段は窓際のおっさんが「おい、一杯奢るから飲みに行こう」と全体を俯瞰しながら面倒見のいい節介焼きがいた。会社の交際費に後で計上したかもしれないが、私も何回もそういう人と会食をして、黙って聞いてあげたものである。そして、私的な飲みでも「●●企業の誰々と食事」と伝票を切る。


久しく忘れていた憲法第25条「国民は健康で文化的な最低限の生活を営む権利がある」から生活保護法が出てきたが、実際は「生活保護を受給をする資格があるのに、もらっていない人が8割もいる国だ」と書かれてある。テレビは不正受給を声高にニュースにするから、テレビ以外のニュース源の無い人はミスリードされて、うつ気質や自責感の強い日本人は「生活保護申請をためらう」。


さらに安部政権の一億総活躍のアジテートは、「働かない人間を許さないぞ。働いて税金を払え」と為政者の代弁。生活保護費の受給するくらいなら、働く職場はたくさんあるから働け働けコールで、精神を病んだりして病院通いも多い。弱い人間はさらに弱い人間をバッシングすることを考えると、この国を覆う冷たさの主たる原因が「隣の人に優しくない」「政治をつかさどる人間が国民を大事にしない」「官僚たちが国民をどこか睥睨してしまっている」、生活保護の窓口で申請に行っても嫌な対応をされて、餓死をしたお母さんが札幌にいた。


相手の状況を見るのではなくて、できるだけ生活保護費を認めないで、理屈をつけて働かせようという市の魂胆としか思えない。その一方、札幌市の職員は「うつ病による休暇は、長い人で3年(途中、組合から給与が支給され続ける)も休んでいても暮らしが成り立つ仕組みを作っている」。どちらも国民であることに変わりはない。大前提の憲法のもとに生きるべきが公務員であるかないかでこんなにも違う。別な市に勤める甥の市職員もかれこれ7年間、休職しても生活が成り立っている。あるとき「おじさん、民間企業なら、私は首になっている?」と聞かれたので「そうかもしれない」と答えた。というのも都市銀行の知り合いが仕事中、脳梗塞で倒れ、手術に失敗して植物人間になり、10年間眠り続けて亡くなった事件があったので、病気ならば、企業に余裕があれば、許されるケースもあるだろうし、あってほしい。どんな企業に勤めていようと「国民は健康で文化的な最低限の生活を営む権利がある」のだということを口を酸っぱくするくらい、小学生のころから教えたほうがいいと思うがいかがだろうか?

ひとりの人間を助けることができる。それができなければ自治体職員の語る言葉は空語・空語でしかないと筆者は思う。

  1. 頭デッカチのピラミッド?。

    弱肉強食,とばかりに教育され社会に出て求めるのは自分自身の待遇と安泰な暮らし。そこで目指すのは大企業または公務員,そして政治家。つまり,優秀な人材と呼ばれる,弱者を見捨てて上り詰めた人間集団が社会構造と言うピラミッドの上層部分に鎮座する事になっている。しかも頭デッカチな歪なピラミッドからの発想は,一見,弱者に笑顔で思いやりを見せつつも後ろを向いてベロを出している。定時に出勤して,すべて事務処理でテキパキこなして定時で帰り,休暇も報酬も十二分に確保して自己ガードを固く保ち,安全地帯から出ようとしない。保身術だけは長けていて,弱者や不利になる関係には敏感に避けるために鎧を身に着けている。社会構造をつかさどるこの様な人材は,最初から違う土俵で育った訳で弱者の気持ちなど全く知る由もなく,理解などできるはずが無い。そこで,社会保障や生活保護の窓口には,実際に生活保護体験者など弱者が担当であれば,窮地に追われた状態の生活保護を必要か否かの判断も即座に答えが出るのではないだろうか。弱者と呼ばれる人材も社会構造の中で活躍の場を与えなければ,現状は変わらないだろう。

    • もと生活保護者を、窓口に置くというのはいいアイディアだと思いますね。全国の福祉の窓口に最低ひとりは元生活保護者を
      置くというのはGOOD。いずれブログの題材としてみます。日本経済は100%、攻めではなくて、守りでもなくて後退
      戦に突入しています。この認識を持たないとすべての産業は失敗します。だから観念だけ(憲法改正、○○特区、大学入試改革
      などしなくてもいいことをしようと、自分たちの高い給与を保証する政治家や官僚が無理に仕事を作っているのです。)小人
      閑居して不善をなすではないけれど、暇人の集団でマスコミも追随してます。いま後退戦で必要なのは外交です。昔から外交
      について教育現場でさっぱり教えない風土(海に囲まれて安全な国ゆえ)がここにきて外交オンチ集団、偏見ばらまきTVに
      なってしまいました。TVや新聞は見ないほうがベターかもしれません。

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