免許皆伝という言葉がありますが、とある古武道流派に伝わる免許の巻物を 拝見したことがあります。必殺技が書いてあるのかとわくわくして見ましたが 「一、.〇〇の技 口伝 一、XXの技 口伝…」という文字が並んでいるだけでした。 これこれの技を伝えました、という証明書で、 読むだけで秘伝の奥義が使えるようになる巻物ではありませんでした。

 

当然ですが、奥義はちゃんと指導を受けた人しか使えないわけです。 その秘伝の奥義を演武会などで披露することがあります。 中には、先生がほとんど触ってもいないのに弟子がすっ飛んでしまうような ものもあり、ヤラセだ、実戦で役に立たないと言われたりします。 たしかにそういう場合、弟子が自分から飛んでいることが多いです。 が、柔道などと違って、「骨を折ったり関節を砕きつつ投げ飛ばす技」なので 飛んで逃げないと怪我してしまうためです。

 

また、演武会はデモンストレーションでもあるので 我が流派に入れば、かけられたほうがまるで触ってもいないのに なすすべもなく投げ飛ばされたと感じるような技を教えよう。 という意味もあるでしょう。実際そんなふうに投げ飛ばされてしまう技は いくらでもあるので、誇張ではあってもウソではありません。 中には、創始者は確かにこんな天才的な技を使っていた、ということを 記録のために残してあるものもあるようです。 代々の師範の中には、結局自分ではできなかった人もいるでしょう。

 

そういう人は、演武でヤラセをするしかないですが、 いつか天才が弟子入りしたとき、演武を見て何かの気づきを得て 技を復活させるかもしれません。 そのへんが、時折凡庸な指導者の代があっても 流派として存続し続ける意味なのでしょう。 歌舞伎や落語なども同じかもしれません。 それに比べて秘伝ではない、初歩の技というのは、 極めて実戦向けのものが多いです。

 

戦国時代には、ほとんどの兵士が普段は畑仕事をしていて、 武芸の鍛錬などしていないことが多かったですが、 それでも合戦になった時、たとえ泥縄でも、立ち方や槍の握り方のコツを 教わっていたか、なかったかで戦果が変わってきます。 初歩の技には、そういう知識やコツが詰まっているので、 知ってれば現代社会でも、交通事故に合うか避けられるか 階段から転落した時、半身不随になるかタンコブで済むかの 違いが出るかもしれません。

  1. 武道が採用の条件。

    日本の文化や日本古来の武道など,外国では人気ですね。そんな文化に触れようと外国から訪れる人たちも増えているようですね。日本の良さは,今や外国人のほうが理解しているようです。これも終戦後の欧米化からでしょうか。武道も必要だった時代から,スポーツの一つのジャンルとして存続する時代に大きく変わりました。元,吹奏楽の仲間で京都府警に入った友人は,柔道は出来ず,剣道の経験が多少あったので試験にパスしました。今では,この様に武道経験者を採用基準とするところは少ないでしょうね。

    • 太平洋戦争の戦中教育の猛省(?)から、明治以降にも伝わった様々な文化が否定・捨てられたと思います。古武道
      もそのなかのひとつかもしれません。明治期、日本中を旅した英国人やアメリカ人は日記で日本の農家や庶民、気高い
      武士の振る舞いについて書いてますが、我々の教育現場には届いておらず、みずからの勉強で発見するしかなかった
      わけですね。残念です。

  2. 子供が「合気道」を習いに行って驚いたように言っていました。「指南の小柄なおじさんが大男を指一本で面白いように投げ飛ばしたよ」と。信じられないことですが,本人が目撃していたから事実でしょうね。また,友人で「居合道」の指南がいますが,これも真剣で型を決めるらしいです。誘われましたが,刀剣だけでも100万円もするとか?でやめました。剣道の試合では「試し斬り」の儀式がありますが,人に見立てた真竹(骨)に俵を巻いて荒縄で縛り上げて一昼夜谷水に浸けたものをケサ斬りするのです。首の皮分を一筋残してバサッと倒れるのを見て人間を想像してしまいます。型も真剣の音は緊張感がありますね。頭の上で寸止めしますが,もし間違ってしまえば人命にかかわるので見る方も気が気ではありません。武士道には礼儀作法や決め事が沢山あって,映画に出てくるような無法なチャンバラはご法度のはずですね。

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