考えてみると、筆者は小学生から自分の机の上の整理整頓ができたかというと恐ろしいほど今とそっくりで整理能力失格だ。ちらかし三昧である。前の会社ではコンプライアンスかなんか知らないが、会社として資格を取るための部の責任者をやらされて、東京から審員査が来る時だけ、自分の机の上を整理して、情報が他人に漏れないよう、名刺を机の引き出しに入れて、鍵をかけたり、企画書やFAX紙も終わり次第、シュレッターをかけて捨てる。

しかし、審査する人間が帰ると、もとの私の乱雑男に戻る。『何がコンプライアンスだ』と毒づいていた私であった。法令順守?!日本中に法令順守をチェックする企業が雨後のたけのこのようにできた時期である。個人情報保護のマーク取得まで年間100万円を払っていた。私のパソコン画面もアイコンだらけで整理されない。下手に整理するとよけいに混乱する。汚いなら汚いなりに、本人にはどこに何があるか、隠れているかが実はわかっていて他人様に整理されるとわからなくなるものだ。綺麗好きが見ると『バカじゃない』がバカではないのである。

私の憧れが新聞記者の机である。たくさんの紙類に囲まれて、その中にクビを突っ込み、原稿用紙に記事を書く姿である。書き損じがあるとポイとゴミ箱に捨てて、床にもゴミが転がる。整理能力に個人差があるのは、何十年もサラリーマンをしてたからわかるが、総じて総務系は整理が上手、役員たちは稟議書を入れる箱を用意してその中にハンコを押す書類を入れて、綺麗な机が多い。ダメなのは予想通り営業部の机や制作室だ。企画書作っては破棄、FAXで原稿校正を何度もするからすぐに捨てないと、どれが最新かわからなくなる。いまはパソコンで時系列で送られてくるからわかりやすいが。

しかし、整理は机の中だけではない。イタリア製の中古のカバンの中も開けてみるとひどいなあと自分で思う。単行本や文庫本・ノート、印鑑、USB2本、筆記用具(パイロットkakuno2本)、時刻表(年に数回の出張のために温存している)、会社のカギ、ブログ名刺と会社の名刺、営業用のチラシ、パンくず。パチンコ玉も出てくるときがある。カバンの中にもドラマがたくさん隠れている。血液検査表も出てきた。糖尿の数値が書かれてある。嫌なものは隠してしまう。あんまり良くない。携帯や手帳はカバンに入れず、ジャケットの内側に入れると決めている。

加齢とともに忘れることが多くて大事なものはきっちり身につけないと後々パニックになる。あるとき『眼鏡がない!』と騒いだら、自分の眼にかけていたことがある。観念(私は眼鏡を忘れやすいという思い込み)が現実の先回りをして、慌てたのである。冷静、冷静と暗示をかけるが、いざとなると恥ずかしい振る舞いになってしまう筆者である。いつになったら整理整頓ができるか考えると、『それは無理、体質的にできない』というのがその答えだ。

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