「2001年宇宙の旅」の監督・スターリンキューブリック監督が夫婦の嫉妬とエロスを描いた(アイズワイドシャット)でトムクルーズ演じる医師ビルが「医者は一度やったらやめられないよ」。リアルな発言に私はうなってしまった。定年のない職業はいろいろあるが、私の糖尿病主治医が85歳までクリニックを開いていて、1月に自宅で急死した。現役での死。横に有能な看護師さんがいれば、薬の名前や患者の疾病内容についての判断は間違わない。医師自身多少ボケていても、病に侵されない限り、内科の医師は続けられる。患者側も病院については保守的な考えをする人も多く、別な病院に変えない。彼は80歳を過ぎても世界糖尿病学会へシカゴやニユーオリンズへ飛行機のチケットを取って行っていたからすごい。英語にも堪能。この世代、医師は文化人であり教養人であるという自負もあって相当に勉強をしている世代だ。ニューズウィークも読んでいて読み終わったら私がもらって世界のニュースを拾い読みができた恩人である。「ホテルで昼ごはんを奢ると言っても誰もついてこないんだよ」とこぼしていた。「先生と職員は年齢も違い話題が違いますからね。」「昔なら奢ると言ったらみんなついてきたもんだ」と。私の水虫直す皮膚科の医師も80歳を超えて一人暮らしをしていた。ウクレレの趣味がありバンドを持っていて、夜はススキノで演奏する趣味人である。優雅な人生であったが、ある日、勤務時間になってもやってこないので医師の自宅にかけつけると死んでいた。その日のうちに『院長の死去につき病院は閉院します』。転職を繰り返した私としては、最初の仕事に死ぬまで関われる医師の仕事、そして現役で死ねるのが何とも幸福に燃えるのだ。患者という他人と会話ができて、喜ばれ、感謝もされれば『仕事冥利に尽きる』であろうと思う。定年のない職業として弁護士があるが、これはきつい。裁判ともなれば同じ弁護士同士の弁論であるから、勉強も半端ではない。さらに見ていると同時進行で案件を4つも5つも抱えているから休む暇がない。現実は、弁護士といっても資格があっても辞めていく人も多く、生活が楽にならない人も多い。テレビドラマのような弁護士ではない。守秘義務もあってストレスも強い。そういう意味で新型コロナウィルスが地球上を覆う前までは、医師の仕事は天国のようには見えたけれど、いまでは相当にきつい、命を削る職業になってしまった。アイズワイドシャットの主人公ビルが仮面舞踏会で遊ぶ姿、セレブ層の頽廃した姿、お金はあってさらなる刺激を求める男女を見事に描いたスタンリーキューブリックが今の困惑する人類を生きていたらどう描いたか、考えるのも一考である。

 

  1. 行きつけの近所のクリニックもコロナ禍で二か月に一度の定期検診も出来ず、このところ例外措置として常連には薬の処方箋のみを出していましたが、二か月ぶりに昨日の土曜日に行くと、意外にも何とマスク姿で大勢が待合室に診察を待っていました。受付で「クスリだけください」と言うと、断られ、「診察してください」と順番札を渡されました。「忙しいので、日を改めて月曜日か火曜日に来ます」と「月曜も火曜もその後もお盆休みですので」と。「では待ち時間は?」と聞くと「11時45分までに来てください」との事。待合室ではソーシャルディスタンスとは言え気味が悪いので、所用を数件済ませて再来院。診察と言っても外注の先生がPC画面を見て「何とも無いですか?血圧は?」、看護師「130の63ですね」、「大丈夫だね。じゃあ向こうで検尿と採血してください」で簡単な問診で3,500円でした。むしろ隣の薬局での肝心の目的だった薬代のほうが2,000円ほどでした。コロナ禍も終息が未だ見えないとは言え、毎回思うのは簡単すぎる問診のやり方ですね。聴診器など使われた事も無く一言二言で「ハイ!お大事に!」と流れ作業ですからね。待合室に掲示されたスタッフの写真を数えたら30人程でした。施設や設備や人件費や検査や代替医師への外注費等を稼ぐには相当な収入が無ければ経営できませんからね。診察料が高いのも、流れ作業方式も、これで何となく理解せざるを得ない定期健診でした。

    • 聴診器の使用は禁じられています、接触ですから。毎回、思うのは初診料1200円。薬を出すにしても医師を通さないと出せないように日本医師会は厚労省と決めてしまいました。患者・国民のためにではありません。薬代も高いし(糖尿病は特に高い)、医師の給与と薬屋、メーカー、医療機器、職員の待遇など突き詰めれば税金で成り立ってる職種です。MRIなんて億円の金がかかります、整備費で1000万かかります。そういう減価償却費も患者の医療費からねん出されます。CT関係の医療機器の世界の6割が日本にあります。必要のない検査をバンバンして私たちは医療機関に奉仕しています。今週は私の心臓CT、いつまで続くのか?

  2. 親元を離れて寮生活の高校生時代には医院の先生とは親しかった事を思い出しました。その街は北陸の豪雪地帯でしたから、冬は除雪が大変で休校にもなりましたから、そんな日には同尞の友達を二人ばかり連れて医院に行って先生に「除雪させてください」と。中庭の有る医院ですから、屋根雪を一旦中庭に落としてから、それをネコ(一輪車)で外の道路の流水稿溝に運びます。相当キツイ作業でしたが若さと報酬の1,000円が元気をくれました。作業を終えると早速近所の映画館に直行して洋画を観るのが楽しみでした。そんな医院の先生に盲腸の手術もしてもらいました。正に街のお医者さんで、時々先生の所へ遊びに行ったものです。気さくな先生は優秀で、内科も外科も産婦人科も一人でこなしていました。今時、そんな医師は居ませんよね。

    • 赤ひげ先生ですね、まったく。昔の医師は威張る人、少なかったと思いますね。私は札幌駅北口に住んでいて、体が弱く、大黒病院の院長さんを母親が連れてきました。電話もないし、病院まで走るか地主さんの黒電話を借りて呼んでました。静かで威張らず手を当ててくれてそれだけで『治るような気になった』ものです。そういう人徳のある医師がたぶん、日本中にいたと思います。立派な検査機器もなくても患者を安心させる(結果的に不幸な結末だろうと)、手当(手を当てる)することで免疫力が患者の内側から高くなったのかもしれません。いまは『脅す医療』に入って、健康器具や健康飲料・サプリ、運動を強迫神経的に繰り返す人が多いです。ウォーキングを毎日していた知人も白血病で死に、健康サプリおたくの女性が脳梗塞にかかり、歩き方の指導をしてくれた病院の人は膵臓がんで死去。『健康』を毎日毎日考えるストレス(活性酸素増大)で不健康になることを今一度考えたいですね。楽しく美味しく熟睡でOK.

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