切れやすい脳の人は・・・。
切れやすい脳の人は・・・。
『脳は単体では成立しない。関係性の中で脳が脳足り得る』と何度もブログに書いた。またキレル老人の話も書き、それは老人に限らず全世代にわたってるとも書いた。アメリカの大統領選の演説会でトランプが意図的にキレルふりをしているのか、実際キレテルのか不明だが、脳が脳であるためには他者との関係性が豊かに配線されていないとまずい現象が出るのではと思ってきた。
それは性別や年齢や価値観の違う人々との交流、ほかの生物や植物との交流、職場での同僚や仲間たちとの会話などで機能する大脳がつまるところ『脳が脳足り得る』意味かもしれない。切れやすい人を見ていると(年齢に関係なく)この多様な大脳の使われ方が偏った方向へ向かって、それが突然、断線されると『怒鳴り・叫び・暴力』に発展するのではないだろうか。
長年引きこもりをしている30代後半の男と話していて、説教めいた一言に激怒して、彼自身のバッグを投げつけられ恐怖を感じたこともある。携帯もネットもしない。そこから発する電波が危険だと思い込んでいる。また、自分を受け入れない社会との関わりを自分から拒否しているようにみえる。つまり、他者と大脳を共有できない。関係性の中で大脳が生きていないから切れやすくなると説明できる。
また、定年後の男たちがキレやすいというのも、この他者との関係性の縮少、縦関係だけで生きてきて、急な横の関係へ移動できない大脳の癖がストレスを起こしてしまったと説明できると思うのだ。さらに強引に敷衍すれば、『あの大人しい、目立たない少年(青年が)あんな凶悪なことをするなんて』という殺人事件を起こした犯人の説明をする記事が多いけれど、これも『大脳を他者との関係性の構築』に失敗した例としても説明できるし、男のストーカーも原因は『大脳の偏頗な使われ方』(恋愛はストーカー的な要素を幾分かは誰しもあるものだが)、多様な他者とのバランスいい関係性が維持できていれば犯罪へは向かわない(と思うのだ)。
総じて、孤立するとキレやすくなる。これは外交にも言えて、『孤立した外交は暴発する』の格言通り、戦前の日本、現在の北朝鮮などにも言える。昔から同一平面で多様な国との外交が下手で外交は一つの国とだけ恋愛関係みたいな二項関係に入る。戦前は日英同盟(1902年)、戦後は日米同盟。明治時代は陸軍プロシア、農業はアメリカ、法律はフランス、海軍イギリスとバランスが取れて何でも一辺倒ではなかった。同時に3国、4国、5国、6国とバランスよく外交できる人間を育てるために、多様な生き方を許容する習慣、バランス感覚いい人間を育てないとまずいなあと思う。派閥の発生も、敵・味方論理で大脳が使われていたとしたらもったいないことである。
最近、キレやすい脳についてセロトニン不足や健康面や栄養面から書かれた本が増えてきた。そういう本には必ず脳の解剖図が挿入されているが、脳は『働きであって、他者との関係性の中で生きている』と思えば、静止地図には意味がないといえるかもしれない。『脳は関係性の中で脳足り得る』ことを思えば、うつ病の増大が人間関係のまずさから出てくることも納得ができる。SNSの利用回数激増が、実は個々人の孤立した大脳が悲鳴を上げながら他者との関係の構築を願ってる図式に筆者は見えたりするのである。