街中で黒のリクルートスーツを着ながら会社訪問をする大学生がチラホラする。大きいところはリモート面接をするらしいので自宅のパソコン画面から就職活動をしているとは思うが、大学授業も4月の1年生から一度も学登校せず、地方から進学してきた学生は友人を作る暇さえない。しかも、授業料が削減されるわけではなくて家賃は支払い、電気光熱費もかかり、アルバイトも少なく稼げない。利子付き奨学金があっても1か月に7万借りたら年に80万円、4年で320万になる。

私も京都の私大に通う娘の借りた月7万円の奨学金を娘と半分ずつ返却、完済したのが65歳であった。毎年の授業料が100万円。入学前にも国民金融公庫から200万円の教育ローンを借りていた。これは親の私が毎月返済をした。返済をする親のほうが鬱的な状況になったものである。追い打ちをかけるように4歳年下の弟が本州の大学へ。再度、国民金融公庫の世話になった。しかし、いまは親のほうも給与が安定せず、早期退職を促されたりして、未来の返済計画が滞る。加えて子供も卒業後、勤め先に入社できても、月々の奨学金が返せるか、返したとして自分の暮らしが成り立つか?親から仕送りが毎月一定額送っても、親のほうは相当にきつい暮らしを強いられている。子供も超緊縮財政をしないと生きていけない、親への遠慮もあるからバイト代で頑張るしかない。

こうした社会環境でどこに楽しい暮らしや憩いがあるのか。クラブや同好会が機能していれば救いだろうと思うがそれもないと、鬱鬱的な気分が学生とその親に襲いかかる。退学を希望する学生も多いと聞く。そこで提案だが、自宅通学以外の大学生の生活を保証するため、大学自身が学生を一定期間雇うのである。大学の職員の給与はいい。それを20%下げて、先生方の給与も下げて費用を作り、生徒同士の距離を広げる作業とかリモート授業の録画を取ったり、大学内の仕事を自校の学生に仕事と給与を与える。一番いいのは後期の授業料は半額とか、後ろにいる親たちへの経済的な配慮である。

学校が再開せず、札幌の実家に帰ってる学生もいる。バイトもないし、しかし住む部屋を確保するために家賃だけは自動引き落としだ。食費・光熱費はまた実家の負担が増す。共倒れになってしまう。そこで10%くらいの学生が退学するのではと予想される。大学という産業は学費と文科省補助金で3兆7千億円。そのうち70%が学生納付金で2兆6千億円、10%退学すれば2600億円が消えることになる。大学経営も鬱の時代に入っている。いずれ倒産ラッシュが始まるだろう。

*参考 数字は『選択9月号』新大学評判記 コロナで大量退学の危機 93p

  1. この度の新型コロナ禍はあらゆる分野に大きな被害をもたらしていますね。外出を控えている間に経済も破綻。大手企業でさえボーナスどころでは無くなってきましたね。「大きい事は良い事だ!」の常識論も、ここに来て正反対の結果になっています。スーツを着てお洒落して満員電車に乗って毎朝通勤してPCの前に座ればOK!でしたが、PCの前でする仕事量も激減して生産性も極端に落ちてしまいましたから、大組織の見直しさえ始まっています。そうなればリクルートだの就活だのと言っても、理想通りには行かなくなるのは当然ですね。内定取り消しなども聞こえてきますから、いくら学力優秀だとしても難しい時代になりました。新型コロナ禍を誰一人予想もしなかっただけに、対策は後手後手となり、最良の出口が見つからない状態です。大学生を持つ親御さんたち自身が不安な将来を抱えている現実を直視すれば、各大学そのものの有り方や経営も見直さなければならないでしょうね。

    • 大学も生徒を集めすぎて、生徒同士の距離を取ると,教室スペースがなくなるわけです。基本は受験料と授業料を集めすぎる弊害が,ここに来て出てきているわけです。しかし,学生からみるとそんなことは関係なく、生の授業と単位の取得と卒業と就職が主目的で、そこにさえ至らず、悶々とした日常を親御さんも送ってると思います。どうなるのやら。

  2. 働きながら学ぶ教育の在り方には賛成です。私の通った県立高校の場合は全寮制で、働きながら学校に通っていました。全国各地から親に負担を掛けられない生徒が集まってきていました。市内に大きな繊維会社の工場がいくつもあって生徒を労働者として受け入れてくれていました。もちろん各社とも学生寮も提供してくれていました。校庭の大きな岩に刻まれていたのは「働学一如」でした。学費は労働した賃金から支払われていましたし、食費も協賛企業が賃金から天引きしていました。手元に残った賃金は日常の必要品を買ったりお小遣いとなりました。親からの仕送りは皆んな殆ど貰いませんでした。私はスキーが欲しかったので、更に新聞配達のアルバイトもして購入しました。大学も各企業とのタッグを組んでの経営は実現出来ないものでしょうか。学生も親御さんも、学費や食費の心配も無く、住まいの心配も無く、現在の4年制が5年か6年制になったとしても、卒業後は協賛企業でも採用の道の可能性も有り、社会経験も積めるメリットもありますね。

    • 大学の施設や建物、不動産取得でお金を掛けすぎですね。中身より外見で生きてる大学ですから。こんなに大学生が必要なのか不思議に思います。中学時代、50人クラスで大学は10人もいません。5人は中学出て直ぐに働き立派な社会人になってます。働くことが一番で、たくさんの大学を出て引きこもりも肉体を使って労働すればずいぶん改善されると思いますよ。まずは,肉体ありきです。自意識ではありません。

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