加島祥造さん、90歳を前にして。
このブログで何度も登場してもらった、英文学者加島祥造さん(1923年東京生まれ)が2012年、90歳を前に「受いれる」という詩集(小学館)を出した。「受け入れる」ではなくて「受いれる」だ。ニュアンス的に(そのままふんわり何の抵抗もなく受けいれる意味にも取れる)。
はじめに・・・これは あなたの中にある 「はじめの自分」と 「次の自分」の話です。このふたつのバランスに気づき両方のバランスをとることーーーそれがあなたのやすらぎにつながる道だ。
こういう文から始まる本で、初源の知恵に満たされた「はじめの自分」がたくさんの社会生活や人間関係で虚飾や悩みに満たされて疲れたときに読むと、やすらぎにつながる知恵が満載だ。たとえば
はじめの自分については
なぜ
はじめの自分が
そんなに大切なの?
なぜならそれは
命の活力の元だからさ
それも
人の一生にわたって
変わらないのだよ
なぜ?
なぜなら
はじめの自分は
自然を受いれた命だからさ(62p)
社会の中で生きていく、会社や家族や地域やいろんな法律を守って生きていく。
社会で生きるには
社会の仕組みを受いれ
社会に受いれられる必要がある
でもね、
社会は
人を受いれるだけでなくて
利用しはじめる
要求は多くなり
強くなる(98p・99p)
それでも人は
素直に従って
社会の自分に
同化してゆくんだ
そして
はじめの自分の
あのエネルギーまで費やし始め
消耗してゆく
私は社会の要求から
できるだけ逃げて生きてきた
逃げてはつかまり
逃げてはつかまって
しまいに
この谷に逃げ込んだ(同100p101p)
加島祥造さんの言葉を借りれば
現代に生きる人は
社会の自分にばかり支配されて
心は固くなり
柔らかな命の自分を
受いれることが
難しくなっていく
それがすべての苦しみの
原点だといえるんだ(77p)
それをやすらぎに向かわせる知恵を少しずつ紹介していきます。
昔の少年
絶対に会社人間(サラリーマン)にはなりたくないと思ってデザインの道を選んだ。フリーランスで仲間と二人で仕事を始めたが旨く行かず生活のため仕方なく勤める事にした。営業担当と顧客へ同行して嫌な思いを何度もした。職場を変わっても嫌な奴は何処にでもいた。人間関係が一番苦しかった。やがて嫌っていた営業に出された。これまでの自分がここで意外にも旨く行った。やがて管理職にさせられ重圧感で苦しく体調も壊れかけたところで会社も体調不良で倒産した。またフリーランスに戻って二年間遊び半分でPC技術を身につけたところに、また新しいオファーがあった。また勤めて重いペダルの自転車を漕ぎだした。生活のためだった。そこから今度は自力で抜け出した。これまでの自分を生かして、これからの自分用の自転車にギヤチェンジすることにした。快適な乗り心地で気分は上々!ただし自分用とは言え自転車操業だ。