老子・・・加島祥造自由訳 第76章 柔らかさについて
1月30日で70歳を迎える私。体も固く心も固くなり、頑固の漢字が「頑なに固くなる」という意味だと実感している毎日だ。そういうときに老子の自由訳「やわらかさについて」を読む。テレビでコロナのお触書が垂れる毎日。江戸時代の庶民になったようだ。お触れが市長から知事から医師会会長から出るわ出るわ。
老子・・・加島祥造自由訳 第76章。柔らかさについて
私のブログに老子が登場することが多い。それも大好きな加島祥造さんの自由訳だ。自由訳だといっても老子の声が聞こえるように優しい言葉で訳されていて、中学や高校時代の硬い固い漢文と注釈の羅列にうんざりした記憶がある。教える教師が学者ぶるのであった。あくびをしながら40分の授業に耐えていた。老子の英訳本は多いので(『老子』は聖書に次いで最も数多く英訳された外国書である)、加島さんは英訳から老子の凄さを実感した。なぜ『老子』がこんなに英語圏で多いのか?現在、世界のベストセラー『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』の著者ユバル・ノア・ハラリ氏自身にも、底流に老子思想が流れている感じる。
まずは第76章の加島(カジマ)訳を紹介します。(淡交社 伊那谷の老子 183p~184p)引用部分はブルー表示。
人は生まれたとき
みずみずしくて柔らかだ
死ぬときは、こわばって
つっぱってしまう。
人間ばかりか
あらゆる生きものや草や木も
生きている時はしなやかで繊細だが、
死ぬと、とたんに固くこわばってしまう。
だから固くこわばるものは死の仲間であり
柔らかで弱く繊細なものは
まさに命(いのち)の仲間なのだ。
あくまで頑張る軍隊は全滅する。
木も、堅く突立ったものは風に折れる。
もともと、強くてこわばったものは
下にいて根の役をすべきなのだ。
しなやかで、柔らかで
弱くて繊細なものこそ
上に位置を占めて
花を咲かせるべきなのだ(第76章)
人ノ生マルルヤ柔弱、ソノ死スルヤ堅強ナリ。万物草木ノ生ズルヤ柔脆(ニューゼイ)、ソノ死スルヤ枯槁(ココウ)ス。故ニ堅強ナル者ハ死ノ徒、柔弱微細ハ生ノ徒ナリ。是ヲ以テ兵強ケレバ即チ滅ビ、木強ケレバ即チ折ル。故ニ強大ハ下ニ処(オ)り、柔弱微細ハ上ニ処(オ)ル。
昔の少年。
漢文の授業中は、よく居眠りしていました。そんな或る日の事、居眠り中の私に教師が近づき、肩を叩かれて起こされました。そして、「今開いたページを読んで訳しなさい」と。寝起きの私は、何とか読みながら考えながらも適当に答えました。ところが?「さすが、君は寝ていても理解しているんだな。皆もしっかり勉強するように・・・」と。まさに、偶然にも正解だったのでした。それからの私は、同級生たちからは、漢文が得意と思われてしまいました。
seto
すごいはなしですね。眠りながら聞いていたのだとおもいますよ。睡眠学習でしょう。そういう勉強できれば受験生に教えればいいですよ。
広告マン。
老子は深いですね。短い言葉で的確に説得させられてしまいます。古代中国の偉人たちを思うに、現代中国には、もはやこのような偉人達は存在しないのでしょうか?世界中が中国から学んだ事は沢山ありましたが、今では軍事力や宇宙科学で世界を凌ごうとしています。中国に限らず大国は大木を見せつけ、ひけらかさずに根の部分で世界貢献しながら、お手本になるべきでしょうね。
seto
老子はタオとしてアメリカ・ヨーロッパで昔から大人気ですよ。果たして存在した人なのか議論もありますが。春秋戦国時代なのでそういう思想家がたくさん出てきたのでしょうね。ということは、これから世界のどこかでそういう大思想かが出る可能性ありますが・・・。どうでしょうか?