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書き手が現役の朝日新聞記者有志となっていて、版元が文芸春秋。「文春新書」の1冊だ。これっておかしくないかな?むしろ朝日新聞に出版の関連会社があるのだから、そこから出すと朝日の度量の広さを見せることができたのにと残念だ。2015年1月に出して2月に3刷してるから売れたのだろう。

福島原発「吉田調書」と「従軍慰安婦報道の検証」について、朝日新聞社内の権力闘争と絡めて、現場記者の最終確認作業軽視とスクープ体質に染められた社内記者の焦りや切迫感は伝わる。役員でないと知り得ない情報がいつのまのか文春や新潮へ漏れ出して書かれる。現場軽視の上層部の足の引っ張り合いだ。私自身、書かれてある内容について精査はできないが、世界中の企業でどこにでもある話とは思う。

「アエラ」の創刊に関わったN氏が札幌のカルチャーセンターに来て、ソバ好きなので何回か一緒に食べにいった。。彼は誰もが次期朝日の役員候補と目されていたが。急転直下、誰かに足をすくわれたらしい。

子供たちが大好きで、稚内の南にあるローカルな高校から講演依頼されると、ディーゼル車でひとりで講演に行く気さくさだ。札幌の信用金庫、東芝道支社の講演も快く引き受けてくれた。私は彼の講演の窓口みたいなことをしていた。穏やか人柄だと思って筆者は「こいつだけは許せないってことあるんですか?」と聞いた。「あるよ」。「そいうとき、どうするんですか?ヤケ酒ですか?」「いや、そういうときは紙にこいつは死刑、こいつは懲役20年、あれは懲役10年と書いてゴミ箱へ丸めて捨てるんだ」。こうやって誰にも迷惑をかけないで、自分の感情処理をしていたんだ。

私も一度だけ、酔って上司に「死ね」と言ったことを思い出した。ずるい生き方をしている人間を見ると筆者は見境なく反発する壮年期を送り、結果として心筋梗塞で倒れた。「朝日新聞」~日本型組織の崩壊~に戻ると、新聞は報道、販売、広告、印刷、販売店、配るアルバイト、集金するアルバイトおばさん、新聞拡張員、ビルを経営する不動産会社、そして読者。系列テレビ局の人事にまで介入する。まるで指定席であるかのように。そして報道部がヒエラルヒーの頂点にある疑似天皇制で、様々な部を抑圧している。

知人に読売新聞の記者と結婚した人がいて、結婚式に出た。式の最後に配られた読売夕刊の1ページ記事がなんと新郎の署名記事にはびっくりした。「公私混同ではないのかな」と筆者は思った、横にいた妻は「なんか男尊女卑っぴぽい記者で、生意気そうね」。毎日新聞記者の知人とお喋りしたときは「大阪で朝日の記者と飲んでいて、給料の話になって、その差に愕然とした」。朝日新聞社員同士の内輪の話ではなくて、外から自分たちはどう見られているかを語録にまとめるなりして、若い人たち、社内人事にかまけないで(こればっかりしているとうつ病を併発する)仕事をしてほしいと切に思う。

朝日OBの人が「朝日新聞社は正社員は半分でいいんだ」と豪語していた。私に言わせれば「そういう、あなたが一番要らない人だったんだね」と思う。こいつは要らないと大言壮語する人が真っ先に要らない人だったケースはどこの企業でも何度も私は見てきた。話がずいぶんずれてきたが、読後感は、内輪話だね。社会との接点少ない本だということ。

しかし、現在、朝刊で毎日掲載の「プロメテウスの罠」のスタートは、元高知新聞記者、元北海道新聞記者、朝日では亜流のカメラマンなど苦労してきたひとたちだ。たぶん改革するのは、純粋培養な朝日社員ではなくて、ほかの企業のエートスを体感し・吸収した人たちだろうと思う、新聞という媒体が残っていると仮定して。

本書の題名も、朝日新聞社を日本型組織云々で一般化するのではなくて、あくまで朝日自身だけのタイトルで良かったのではないか。

  1. 現役の記者が自分の会社の内部告発とは?目的は何なのでしょう?嫌なら辞めて他社に鞍替えすれば済む事なのに、在籍しながら漏洩する。つまり当事者の記者達も含めてそれほど酷い組織だと言うのでしょうか。僕は朝日新聞の拡張の経験もあります。高校生の時は寮生活の傍ら朝日新聞の配達もしていました。朝日の販売店主の家族には本当に世話になりました。札幌の販売店主はフラりと札幌に来て仕事が無い若い僕に働かせてくれたうえに住まいの一室まで与えてくれました。そしてある日「君は手に職があるのだからいつまでもこんな事していない方がいい。仕事先なら探してあげるから」と親身に仕事の紹介までしてくれたものです。僕の知る限り販売店主はいい人ばかりでした。新聞社本体の事は余り知りませんが、聞けば聞くほど信じられない事だらけです。新聞社や放送局は何処もそうですが、仕事らしき事はしない人も特別な人たちなんだとの意識が強いような気がしますね。権威をひけらかす程のものではないんですが。何となく鼻につきます。そう言う僕もかつては上司に「あんた、いい死に方しないよ!」と面と向かって言った事があった。外部の人達にも話したこともあった。結局書籍には残さないにしろ、皆、同じ穴の何とやらですか。外に向かって自慢できる事でもあればいいんですが。

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