ドイツ兵捕虜盗聴記録に見る戦争の心理
「兵士というもの」

これまでたくさんの戦争もの、特に第二次世界大戦や太平洋戦争で残された記録や証言、家族へ宛てた手紙や映像・写真で戦争の本質に迫ろうとしたドキュメントはたくさんあるけれど、「兵士というもの」(みすず書房400p)は、英米軍に捕虜されたドイツ軍人の収容所に盗聴器を仕掛けて、記録を取ったものである。付属資料を追加すると15万ページに及ぶ。1996年に発見されて二人の学者で分析された本である。兵士たちの飾らない生(なま)の声が聞こえてくる。暴力、破壊、戦争犯罪、感情、セックス、技術、イデオロギー、勝利への信念などを盗聴記録から読み取ろうとした本である。特に性の部分は、男の兵士の飾らない、むしろ自慢げに話す日常会話記録で、女性が読むと吐き気を催すかもしれない。第3章 「戦う、殺す、そして死ぬ」の中の後半がセックスである(195pから)。この本のいいところは、性を戦争に限らず、日常生活の構造の中(ポルノ産業や買春や売春)でとらえていることで、戦争という状況下で、軸の移動(日常なら金、戦場なら権力に軸が移動)で行為に及ぶ機会が作り出されたことである。死ぬ恐怖と性(生)の強さは裏表にあるかもしれない。イギリスの捕虜収容所でUボートの二等兵が語った「かわいいユダヤ人」について。

兵士:終わった後はユダヤ女は殺すんです。楽しいことではありませんか。

「人種汚辱」で訴えらえる危険を回避するために殺す。この本にはもっと生々しい発言の記録音声が残っている。学者たちの整理された記録ではなくて、兵士の生の現実、生でしてきた実際の事柄が、語られると、真実のところがもっと人間に直截に届くように思う。語る方が100倍辛いとは思うけれど。

たとえば霞が関の男子トイレの中や、警察本部の中の会話、総理府の中の人事部中、検察庁の中、財務省の中、防衛庁の中にICレコーダーと監視カメラを壁の中に埋め込んでおけば「権力を監視できる設備を国民は持てる」のである。誰かの証言に頼るから手間暇がかかるのである。声があれば一発である。それをあるチャンネルで全部公開して見れる、聞ける仕組みを作るのに大して費用はかからない。「すべての政府は嘘をつく」のが真実ならどこの国も国家は成立しないかもしれない。なぜなら嘘が表にすべて出るからである。
しかし、真実の声を盗聴することで、無駄な議論の時間を減らすことができるのではないだろうか?国会中継より真実に迫れる。公務員は国民の公僕であるから、それくらいのプライバシーには耐えなければいけないと思う。

甥が交番勤務から道警本部に異動したが「ひどい、ひどい、中がひどい。腐っている。守秘義務があるから言えないが。」と父親に電話でこぼしていたと叔父が電話で言っていた。腐敗し続ける権力に国民は囲まれている。

ドイツ兵捕慮盗聴記録をペラペラめくりながら、筆者が連想したことは以上のようなことである。

  1. ドイツ兵でなくても日本兵も同じような残虐性を発揮したとの話は、間接的ですが義父の経験談を耳にしています。義父は衛生兵で、中国大陸に派兵されていた時の事らしいですが、中国人女性の両足をそれぞれロープで縛り二頭の馬で股裂きをしたとか?。推測ですが、多分ドイツ兵の犯したユダヤ人女性と同じでは無いかと。いや、それ以上に残虐非道ですね。こんな情景を後世には伝えきれずにいたために、戦後70数年後の現在でも近隣国から厳しい保証問題などが噴出しているのだと思います。現代の我々には想像もつかない戦中の行為は、我々の先輩たちの戦争犯罪と簡単に片づけられない問題ですね。いま、国内各方面で女性蔑視が問題になっていますが、第二次大戦後77年。ようやく変わろうとしているのは、遅すぎる感は否めませんが、国際スタンダード化に近づきつつあるのは確かですね。

    • 人間を極限に置くと、ろくなことをしません。それも死をかけた戦争の渦中で、命令は絶対なら、人間の持っている悪の全開はすぐ前にあります。だから戦争はしてはいけないのですね。高尚な動物では人間はありません。鳥やほかの動物たちは無駄な殺し合いはしません。ホモサピエンスはどこかで文明の推進を間違った可能性あるのではという本をいま読んでいます。狩猟採取時代のほうが人間性ノレベルが高かったと。

  2. 密室と言われる事が多い政治ですが、密約も密談も密接も全ては密室で行われます。一般企業ではセキュリティ強化とかで盛んにパーティーションで仕切って外部からは見えない密室空間づくりが盛んでは有りますが、公共施設はいっその事、壁を全部、今流行りのアクリル板パーティーションにしたら良いかも知れませんね。そうすれば密談も丸見え。密接も出来ず、密談も成立しませんね。しかし、その反動で、PC間での密談やスマホ密談は増えるのかも知れませんね。これだけは防ぎようが有りませんが。便利な世の中は、文明の利器を駆使し、不正や犯罪も増えているのでしょうね。

    • 秘密という言葉は子供のころから好きな言葉で、「夕べの秘密」という歌もありましたね。噂の真相が愛読書でした。隠すからのぞきたくなる、最初からオープンなら見たくなくなるかもしれません。PCやメールだって、権力を行使すれば秘密はなくなり匿名投稿も実名が発見されます。丸見えです。秘密はだから表現しないで、胸に置いておくだけが安全だと思いますが、人間弱いもので、ついつい口にしてしまう。アクリル板は落ち着かなくて、たてまえ話ばかり横行する集いになりそうですよ。

  3. 戦争の現場に立てば「殺さねば殺される」との恐怖心が狂暴性に変わるのでしょう。また団体行動とか組織の中では個人の自由は無く、独特の法律が決められ、一方的に強制される事で思考を統一させ、洗脳し、命令に従って動く機械的な人間にさせられるのでしょう。しかし、もっと怖いのは近代戦争ともなればAIで動くロボット戦争や、無人攻撃機や、軍事衛星などと、更に過激になる事は間違いありませんね。今朝も北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたとのニュースでしたが、もはやミサイルさえも前世紀の遺物化しつつありますね。宇宙空間からの攻撃などに曝されればニュースさえ流れる以前に大変な事態が起きてしまわないとも限りませんね。米中の対立も表面化していて、台湾をめぐっても何かキナ臭いニュースも聴かれる昨今ですね。忌野清志郎の歌に、「♪地球に国境はな~い」なんて替え歌が有りますが、戦争の度に国境線が移動して火種になっていますね。

    • 現代は(昔もそうですが)国境線の移動は必ず殺し合いと戦争になります。しかし、アフリカなんて定規でヨーロッパ各国が引いただけで、そこにどういう部族や民族がいてという配慮ありません。、地下資源の強奪のための利害だけの残酷な線引き、今日までアフリカの部族戦争の種をまいたわけです。ODAも食料支援も、軍事政権に横領されてしまいました。こういうアフリカ票を電通は金を撒いてオリンピック開催を有力だったイスタンブールからアフリカIOC委員に約2億円をバラマキ買収したわけです。貧乏くじを引いたわけです。武器先進国は自分の国の兵士の死を無くして相手側に甚大な殺傷をおこなう兵器ばかりですが、日本の弱みは海岸線に並べられた原発52基で、これにミサイル1発攻撃されれば一巻の終わりです。大地震もそうですが、原発の技術者は自然について無知過ぎますね。自然に謙虚にならないとた大変なことになります。実際、フクシマなりました。電力を大量に使うデジタル放送(きれいに見せるために照明がすごい)をきょうも流しています。筆者はテレビはほとんど見ません。戦争は文明の延長にあるような気がします。広告のマーケッティングって戦争の論理ですからね。気をつけないと。相手の市場を奪うわけですから。

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