依存症ビジネス(第3回)~なぜ自分を破滅に導く習慣をやめられないか?

病み付きビジネスが利用している脳の仕組みについてのお話だ。勤勉で内向的な人が罹り易いパーキンソン病の治療薬を飲んでいた人が突然ギャンブル狂になることがある。治療薬にはドーパミン(脳内快楽物質)を模した薬があった。

ドーパミンは、進化の途上のあらゆる動物に見られる。美味しいものを食べたり、SEXを楽しんだり、賭博をしたり、快楽を強める場合、必ず放出される。liking(好き)よりwanting(欲望・欲する)にドーパミンは深く関わっている。(85p)脳内の報酬回路(AをすればBが得られる)について、脳内のストップ&ゴーでいけば、ゴー&ゴーである。ギャンブル、買い物、過食、性欲亢進させ、ヘロインやアルコール、コカインもドーパミンを急上昇させる。衝動の強さはもちろんwantingが大きい。

内向的な人に発病率が高いパーキンソン病の治療薬『カバサール』(ファイザー製薬)のせいでギャンブル依存症になった人たちがメーカーを訴えているのもドーパミンを大量に出させる薬のせいでもあるからだ。ドーパミンの過剰摂取は危険である。パーキンソンに限らず、ドーパミンは取り付かれたような買い物行為、過食、性欲亢進に進行する。

さらにこの快楽を経験的に繰り返したくなる。依存者はさらにハイレベルを求めるようにもなり、ヘロインやMDMA、アルコール、麻薬の乱用へ向う。しかも、このドーパミンを増産する合図(キュー)はいたるところにある。テレビでの飲酒の場面であったり、街中に漂う食品の匂いであったり、競馬のファンファーレの音であったり、デパートのショーケースのファッションだったりする。『ドーパミンのメッセンジャーは行動を強いる。その衝動は、意思の力だけでは簡単に太刀打ちできないほど強い』(心理学ハーベイ・ミルクマン)さらに日常生活では、抑えられていた依存症が場面が変わると急に復活することも多い。10年禁酒していた人が飛行機内でワイン1杯で元の木阿弥になることもある。『本当は飲んではいけない、本当はやってはいけないこと』をwanting(欲望)は簡単に乗り越えてしまう、脳の回路によって。適度な依存と病気としての依存症との区別が、実は明確ではないのである。

ということは、すべての人々は依存症の一歩手前で生きているわけである。食べ物、博打、買い物、スマホ、オンラインゲーム、ブログ書き、恋愛行動、パソコンでのポルノ鑑賞。そして『自分では少し依存症気味だと思いながら、わざわざ自分のためにはならない(お金や時間の無駄)と知りながら、その習慣を止められない』しかし、liking(好き)という感情はあるきっかけや事件で(嫌い)に転化するが、wanting(欲望)は、メディア環境や企業が心理学を応用して巧みに依存へと消費者を誘導させている。

たまには自分を、高いところ(想像世界で高度1000メートルくらいから下界を見下ろすことも必要だ)に立って、もう一度自分の生き方を、日常生活を見直してみることも必要と思うがどうだろう?自身がなんの依存症にかかっているか?じっくり点検できるはずだ。

 

  1. 依存症を利用したビジネスの多い事は計り知れませんね。公営ギャンブルなんて最悪のビジネスですね。公営と名が付けば誰もが信用してしまう訳で、しかしやって居る事はギャンブルですから大損を見込んでの利益をピンハネした分での支払いは絶対に損の無い確実なビジネスです。大半が負ける事で成り立っていると言えば宝くじも同じで負け金が支払われているだけで胴元は一切損失は有りません。その魔の手に掛かるのは紛れもなく哀れなのは私たちのような依存症の貧乏人でしょうね。

    • ギャンブルは胴元にならないと勝てません。公営ギャンブルは国家です。株式に血道を上げる人たちも同じように見えます。仏教学者ひろさちやさんが金の延べ棒を、マンションの床下に隠していて追徴を受けた事件がありました。あのころ仏教について全集を出していて儲けていたんでしょうね。バチカン特集を読んでいると、金ぴかはむしろカトリックやインドやイスラムにも合いそうで、金依存も根深い、宗教家を奉ってきた歴史をみると変な世界だと思います。特徴はやたら儀式を派手にする、大げさにする、周りが畏怖する仕掛けを考える。スポーツイベントの開会式にも表れていますね。権威付けビジネスでもあります。ナショナリズムのくすぐりを始めます。広告代理店、デザイナ、技術者が動員されます。黙って初めて静かに終わればいいものを。

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