ご主人のガン治療・付き添いを何年もしている主婦から私がパソコンでコピーしたロッドスチュワートの曲を探したが見つからず、どこで買えるのかの相談電話があった。陽電子治療もしているらしいので看病は長い。札幌から帯広まで高速を走らないといけない。

西洋骨董のバイトをしていたとき店内に私が流していた曲・The Great American Song。彼女は気に入った曲がどのアルバムに入っているのか、わからずじまいで1枚買ってきたとのこと。、店の中で流した曲が全然入っていない。関東へ嫁いだひとり娘にも相談できず、夫の看病の帰り、車を運転しながら寂しさを紛らわすために毎日のように聞いて何百回聞いていたらしい。、磨り減ってしまって聞けなくなったので購入したいということだった。

彼のCDはどこへ行けば売っているかの相談電話。『The Great American Songbook1~5』。『このシリーズは全5枚でバラード集だと店員さんに言えば持ってきてくれますよ』と教えた。何十年もCDを買ったことがない人だったのである。車の中だけではなくて自宅マンションの骨董だらけの居間でも別のアルバムを流しているとのこと。

押し付けがましく、山下達郎や竹内まりやのアルバムをコピーしてたくさんの人へ贈呈したが、彼女がロッドスチュワートのバラードだけを磨り減るまで聞き続けていたことに筆者が逆に感動してしまった。こんなに喜ばれた楽曲もない。旦那さんはガン細胞を発見する治療検査のPETをはじめ、あらゆる最先端のガン治療をしているが、いまだ完治せず、あとの経過は聞いていないが、病院の帰りに車の中、居間の中で唯一慰められたのがロッドスチュワートのバラードであった。筆者もたまには人の助けになることができたものだと喜んた次第だ。

そのご主人が亡くなった。多くの財産を残してね。骨董好きの仲間たちがいるから気を紛らわしてオーク材のテーブルと椅子を磨いて気晴らしをするといい。ひょんなことからお店に流した曲、自分がいま置かれている精神状況を癒すメロディーが生きる希望やささくれた気持ちにあったかい風を吹き込んでくれる。御主人が亡くなった後、一度、話したが『自分も死んでしばいたい』。『唯一の娘さんと初孫がいるのに、娘さんに言いましたか?悲しみますよ』。骨董家具の取集家の友達も何人かいて、彼女たちの心遣いもあって、ひとり暮らしの彼女のマンションで今日もきっとロッドスチュワートが流れている。生きる希望を与えるアンニュイ(矛盾しているが)バラード集だ。

  1. ヘターリスト。

    家内がクラシックファンだったのに、いつからかロックを好きになり、名古屋まで一人で聴きに行っていました。その当時にはロットスチワートを聞かされるようになりました。丁度正月休みに厳寒の道東にクルマで撮影ドライブに出かけた時に、単調で眠くなる直線道路や凍結して危険な道路のドライブに、気を紛らわせるために当時のカセットテープを借りて行きました。案の定、クルマの行き来もほとんど無い危険な峠道や直線道路でガンガン掛けて機を紛らわせたものです。もしもあの時ムードミュージックなど掛けて居れば眠ってしまっていたかも知れません。札幌のグリーンドームでのコンサートにも家内を連れて行きました。あの風貌は余り趣味ではありませんが、あのかすれ声で長い間ファンを魅了しましたね。

    • ハードロックは苦手なほうだったので、ロッドスチュアートは聞いてなかったのですが、アメリカンオールドソングシリーズだけは別格でしたね。しわがれた歌い方にしびれてしまいました。大きな声を出せるから抑えた歌い方に深みや余裕があるんでしょうね。グリーーンドームでライブあったとは知らなかったです。音にも食べず嫌いがあるんですね。自分の視野の狭さを感じます。

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