或る時期、何度か友人との関係を断った事がありました。その時は大抵、居場所を移動していました。慕われるのは良い事なのかも知れませんが、例えば音楽活動での後輩は大阪へ土地を変えても現れて下宿に転がり込んで来ました。やがては借主本人の私よりも図々しく振舞いはじめ、嫌気がしました。或る時、私はその下宿から、行き先も告げずに逃げ出しました、が？数年後どこで調べたのか？遠い北海道まで訪ねて来て我が家に一泊しました。中学の時に実家の電気工事店の手伝いで古い家の配線撤収時にガイシが割れて片方の目を失明した後は何かにつけてコンプレックスを持って居たので、励まして立ち直ったかと思ったのですが、成人しても片方義眼を相当気にしていて泊まった夜話を聞くと、襟裳岬に行くと言うのです。つまり自殺をほのめかしていたので、厳しく逆療法で『行って来なさい』と送り出しました。案の定、翌々日戻って来て街中の喫茶店で話を聞き大阪に帰しました。それ以来、二度と現れなくなりましたから、彼もようやく成長したのではないか？と思って居ます。時には関係を断つのも必要です。また、独身時代に下宿を借りて、フリーランスでデザインを生業としていましたが、医大前の狭い四畳半の部屋に二人転がり込んで来ました。二人とも少し前まで同じデザイン事務所に在籍していた仲間でしたが、デザイン作業を手伝うと言いながらふざけ合って仕事の邪魔でしかなく、キュウキュウとした暮らしの私に集り、ただ飯と寝床が目的の二人に『出て行ってくれ』と追っ払いました。友人関係を断ち切るのは辛いものですが、彼たちの為でした。それでなくても、彼らには就活の手伝いをしてあげたり十分に助けてあげていましたから恨まれてはいない筈です。また逆に、友人の方から関係を断たれた経験も有ります。ギター、ギターアンプ、ボーカルアンプ、ドラムなどを私名義のローンで揃え、これから練習場探しをと言う時に、同居していたバンド・リーダーが突然消えました。無言のメッセージ？なのか？部屋には真っ赤なリンゴが一つだけ置かれて居ました。他の仲間と話してバンドは即解散を決め、楽器店に違約金５万円を払って楽器を全て引き取って貰いました。リーダーに見限られたのではないかと今でも思い出します。親しかった友人との関係を断つのは辛い時も有りますが、お互いの為には断ち切る決断も大切でしょうね。

絆の肥満と言えば、SNSですね。例え面識すら無くても繋がっていたい人だらけですからね。他人の一挙手一投足までをも気にして生きる時代なんですね。『隣は何をする人ぞ』の時代は何をしている人なのか？と考えるのに対して、『他人は一体何をしている人？』と、やたらと知りたがり、また、聞きもしないのに、やたらと自ら教えたがる人ばかりですね。ですから周りは教えたがり屋と、知りたがり屋の情報通ばかり。知りたくもない情報をよくもそこまで沢山知っているものだと感心と言うより、呆れるばかりです。しかし危険なのは、多すぎるフェーク情報まで拡散する事ですね。

一概には言えないと思いますね。友人と一緒にいる時間が長いし楽しい人も居るでしょうし、それが煩わしいと言う人も居るでしょうね。また相手にもよるでしょうから、決めつけるまでは出来ないですね。例えば同じ友人でも恋人未満の友人の場合と普通の友人とではお互いの立場も違うので接し方も大きく違って来ますね。お互いに共有する時間が比較的長いのが、いわゆる親友なのでしょうね。長く生きて居ると思うのは親友は果たしていたのか？と思いますね。考えるに、親友は最も親しい大切な友達ですが、その関係も長く続いたかどうか？と言えば、意外にも短かったりもしますからね。反対に普通の友達で長続きしている場合もありますから、浅い友達も浅い付き合いの方が長つづきするのかも知れませんね。