旧知の社長さんに年末挨拶へ行くと、世間話になった。いつもなら忙しそうで会ってくれないことが多いのに、腰掛けての雑談となった。話題は『最近、営業職が不人気で介護職より成り手がない』話をしたら乗ってきた。『なるほどね、それが私の店でも接客女性がいつかない、営業も不人気なら接客も不人気なので、その辺の対策や解決策を今度夜に仕事が終わってから飲みませんか?』という飲み会に発展していった。

宝石や貴金属を扱うお店で綺麗な仕事だと羨ましい限りの店と筆者は思っていたが、やはりクレーマーの多さに辟易しているのか、接客の難しさで辞めていく社員が多いということだ。基本給や福利厚生面は悪くはないと思うが、それでも『これだけのクレームを処理したり、神経を使うにしては給与面で安過ぎる』と言って辞めていく。以前に、営業職の不人気について散々書いてきた私なので、接客業でも似た現象があると思った次第だ。共通は対人関係を、具体的な人間関係をスムースにやり過ごすことの苦手さといったらいいかもしれない。あんまり深くはまらないで、適当な距離を取って、他人との関わりをビジネスライクに好意的な関係のまま終えることが苦手なのだろうなと思う。余り、なれなれしい関係は長続きしない。

一番いいのは、丁寧な付き合い方をすることだろうと筆者は思うが、それを実行する訓練は場数を踏まないと身に付かない。たぶん最初は電話一本の受け応えから始まっているだろうが(どの会社もまず電話の取り方や挨拶から始まるのはそのせいだ)、私はこれといった訓練のないまま社会人となったので、大手企業で訓練を受けてきた人たちのスムースな電話のやり取りを聞いてうらやましくなるときがある。接客が苦手なら当然、営業はさらに苦手感が増えることは間違いない。

顔の見えないコールセンターでマニュアル通りのほうが楽なような気もするが、実際、コールセンターに勤務した人の話を聞くと、ここもクレーマーの山で心を壊す人も多いらしい。筆者の自宅の固定電話に雑踏から光通信を勧める電話がかかってきた。間のない一方的な口調で喋り続けるから、聞く私は具合が悪くなってガチャンと切ることにしている。

今度、社長さんと会って話すとしたらどういう話をしたらいいのだろうか?店の風格からいって客層がかなり勉強してきているリピーターが多いから、むしろ若ければお客さんから学ぶくらいの姿勢が誠実で好印象を持たれると思うが、余りきついノルマはかけないで楽しい職場作りを目指すアドバイスをするつもりである。しかし、現実はいつも厳しいからうまくいくかどうか。

  1. 私の娘は、地質調査の全国組織の会社で秘書をしていましたが、或る日、自から辞めると言い出してネイルのスクールから国際免許迄取得してホテルに入って居るネイルサロンで働き始め、役員にまでなりました。が、しかし所詮は接客業。それも、わざわざホテルにネイルが目的で来られるお金持ちの女性が殆どでしたが、全てではありませんが、中にはヤクザ系の横柄な客も多く、乾かない内に自分で何かに触り、汚したくせに『あんたが下手だから』とか因縁をつけてやり直させられたりも頻繁に重なり、接客業がつくずく嫌になったと辞めました。そして、元のように事務系も経理総務職に戻りました。今ならカスタマー・ハラスメントですが、当時はカスハラどころか、パワハラ、セクハラも騒がれて居ませんでした。水商売なども同様に客扱いは難しいですね。希望通りの客ばかりではありませんから、それらをいなせる接客術は相当の熟練が必要です。ですから新人は新人らしく新鮮な部分をいつまでも保つような接客態度が良いのでしょうね。擦れた馴れ馴れしい接客態度などは絶対にしない事ですね。むしろ、いつまでも新鮮さを保つ努力のほうが大切でしょう。その方が顧客から見ても公平で初々しさに好感度も上がりますね。最初の頃は顧客から学ぶ態度も大切ですね。つまり自分よりも顧客の方が知識も上に決まって居ますから教わる事の方が多い筈ですから、知ったかぶりよりも謙虚さを持って素直に対応する事の方がむしろ信頼度は高まりますね。ベテラン営業マンで管理職にまで上り詰めた方からも聞いた話ですが『私は営業職で入社して右も左も何も知らずに、客先ですべてを教えていただきました。農家に行って米や野菜の事を、砂利を扱う先では砂利の知識を、北大では研究員や教授からも』と。接客の第一歩は顧客情報を聞き取るところからですね。そしてその次の来店や訪問までに自らも調べて、話題を膨らませて親密度を増す事でしょうね。

    • 接客と営業は似ていますが、そこで使われる日本語に、その人の教養や育ちが出ますから注意です。なれなれしさを抑えて距離をとることですね。聞くこと8割、話は2割がバランスいいですね。SNSはできるだけ使わず。電話を使用することですえん。メールは相手に打ち込む労力を課してしまいます。

  2. サポートセンターでAIが電話を受けたり、クレーマーの声をAIで穏当な口調や声質に変えてしまうシステムもあるそうです。そのうち、昔は人間の営業さんが来てくれたそうだ、いい時代だったんだね、と言われるようになるかもしれませんね。営業スキルが無形文化財になるかも。

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