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               (女性が物を持たない暮らし本を多く書いている)

一時、シンプルライフの提案があったり、物に溢れた空間を「断シャリ」して広々とした自由空間をエンジョイする人々が増えた。いまはこれにできるだけ欲望を小さくして、快適な居住空間や衣料品を減らして生きていこうとしているみたいだ。個人消費の上向きを願う人には申し訳ないが、貧富の差が尋常ではなくなってきている。

不要な物はリサイクルショップへ安くてもいいから持ってゆき現金化する。札幌で30年以上前からリサイクルの「ブランドショップ」を立ち上げたパイオニアの同世代の女性がいて、「全国から送り付けられるブランド物の量が半端ではない」と悲鳴を上げていた。中心部のマンション一部屋では足りず、もう一つ倉庫を増やした。札幌と旭川で5店舗経営している。

高級住宅街に住む知り合いから電話もあって買い付けに行く。「最近、気持ち悪いのが、衣料品を出せるゴミの日に小型トラックで市のゴミ収集車が来る前に、持っていく男たちの存在だ。だから捨てるときはハサミを入れて切り刻む」「でも刻むのも面倒で電話したの」。捨てる人あれば拾う人がいる。ブランド品ならリサイクルへ持っていけば小遣い稼ぎになる。(注:札幌市の場合、衣料品を入れるビニールは何が入っているか外から見える)

リサイクル品に関しては、絶対買わない人もいれば、物によってOKという人もいれば、衣料品や靴や時計何でもOKと個人差が大きい。壁に貼るカレンダーも嫌がる。白い壁を残しておきたいのだと。次に引っ越しするときに原状回復で余計なお金を取られたくないからとも。持家と借家でも考え方は変わってくる。

それとコレクターが余りいなくなった。映画やクラシックファンと会った知り合いも彼は70歳。「いまどんどんDVD、レーザーディスク、CDを捨てている。もう何百本になったかわからない」と。「見たことも聞いたこともない映画や音楽があるけど、ここまで見ないなら持っていてもしょうがない」と割り切らないと。映画・クラシックのコレクターで鳴らした彼はまた新刊本の購入も多くて、いったいどんな空間になっているのか見せていただきたいものである。

物が一つ増えるとその物が大体10個の要求をしてきて持ち主を縛る。たとえば車1台あれば、ガソリン代、車検、自賠責、任意保険、消臭剤、洗車仕事、マンションなら駐車場、盗難への気遣い、(北海道なら)タイヤ交換、冬用ワイパー、わだちにはまった時に出せる器具、スコップ、凍結の鍵穴を溶かす液etc。そして車のローンと事故による人生の急変もあるとしたら、車は所有せず、使うときにレンタしたほうが賢い生き方かもしれない。さらに都会へ出ると駐車場探しだ。

テレビも必要ないという人、携帯を捨てた人もいる。先日、筆者の携帯の液晶画面が壊れて好きなSONYエリックソンのリサイクル品がゲオで1800円。購入してauショップでデータを移して2000円で済んだ。

 

  1. 物欲で物を買う楽しみもある程度年齢を重ねると冷めてくる。確かに買うより借りた方が遥かに安上がりで経済的だ。住宅に例えれば、最近やっとローンが終わってホッとしているが補修費と固定資産税は容赦なくこれからも続く。車もローンが終わる頃には調子が悪くなり買い換える。そこで中古車を入手すればいいのだが思いきれない。これには僕なりの理由がある。仕事が関係しているからで決まったメーカーの車種しか買えないが、クルマも稼いでくれるから納得している。前職で若い社員が僕の引継ぎ要員として車のディーラーさんに同行営業に行った。彼曰く「毎週休みには各メーカー系ディーラーさんで試乗しています」と。なかなか熱心で仕事を引っかけて来るのかと思いきや?ある月曜日「昨日も試乗しましたが、女房と話していて、クルマは借りた方がトクだと言う事になりました」と。僕の期待は裏切られ、彼を外す事にした。「なるほど」とは言ったものの「個人の損得の話かよ?」と思ったからだ。最近の若い世代の人達がしっかりしていると言うのは、このような事なのかと思い知らされた。まだ若いのに完全に冷めている。家庭の女房や子供の事が第一義で仕事はそれなりに第二、第三となっているようだ。家庭にとっては良きパパである事は間違い無いだろうが空しい。しかし僕も最近では「なぜ?25年も高い金利で住宅ローンを借りたのだろうか?」と思う。賃貸住宅のままなら家賃だけで済んだのにと。金利と手数料など無駄遣いだったと。欲しい高額商品を買う事は意識の高揚にもつながり、同じ借金でも「気持ちの良い借金」として捉えていたのだが?

  2. 自分個人の物で、多少なりとも資産価値のあるものと言えば、古い住宅くらいだ。書物もほとんど処分したし、マニアックなカメラ数台とプロ機材も全て中古カメラ店に引き取って貰った。着る物も大したものは何も無い。せいぜい帰って寝る布団があるがベッドも止めた。パソコンのおかげで、資料と称する紙屑は無くなった。パソコンも昔ほど高価でもなく資産価値など無いに等しい。大事なデータも記憶メディアにコンパクトに保存できるのでデスクの引き出しに入れたりポケットで持ち運びできる手軽さだ。
    これからも買い足す物は無いと思う。ところが友人宅には所狭しとぎっしり物があって狭い空間を歩く。それでも通販などで更に買うから益々狭くなる。僕の家は7人家族、友人は独り者なのにまるで正反対だ。捨てられない症候群らしい。

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