久しぶりに近所の図書館へ行くと、仰々しく図書館利用についてアンケート調査をしていた。軽い気持ちで書いているとその質問項目の多さにびっくり。A4で4ページにわたる。そして、一番聞きたいことは最後に定石通り、図書館員の接客だとか対応について聞いてきた。隣で小学生も書いていた。小学生に図書館員のお姉さんについて書かせるの?

市立図書館はいま外注で東京本社の企業が運営を受注した。これは当時市議会で市費をわざわざ東京の企業へ支払うのかと地元愛の市会議員が質問していた。今は2月だから4月以降の新年度予算を前に市民(図書館利用者へアンケート)の声を分析して、今頃、表にして分析結果を提出し、来年はこういうところを直しましょうと提出でもすると、「さすが立派な調査をするもんだ。来年もこの業者を使いましょう」と田舎の市会議員はコロリだ。ピリピリして緊張していたのは司書の人たちなのは言うまでもない。

しかし、アンケートを書いたことがある人は体験的に、そんなに本音100%は書かない。たとえば書く人が夫婦喧嘩をしてきたり、子供が反抗的な態度を取って不機嫌なときとか、書き手のそのときの情緒にも大きく左右されるし、ふだん接触している図書館のお姉さんたちの労働を増やすような答えを書けるわけがない(書く人も中にはいる)。私はすべてに満足で〇をつけたが、どこへ行っても、そこで働く人間へのアンケートだらけ。いわゆる匿名での苦情集めだ。スーパーのお客様の声もそうだ。私はよく読む。苦情やクレームを集めて商売にしている企業もあるくらいだ。ストレスフルな社会はクレーム過多、金を使う人間が王様になると使われる方は奴隷になるのか?愚鈍な消費者が多くなったことをもっとメディアは報じるべきだと思う。愚鈍な学生や生徒もそうだけど。

私は市民同士のスパイ合戦みたいで不信感を増すだけのアンケートばやりの世の中にウンザリだ。たぶん声は出さないけど、私だけではないと思う。アンケートで自分のところで働く人の評価を他人に聞く行為が大嫌いだ。前にも書いたが、心臓のカテーテル検査を札幌の循環器病院で2泊3日でしたときも、素晴らしい看護師たちに感動したが、部屋の前の休憩室に「院長へご意見直行便」があった。書いて、その箱へ入れ、匿名でもOKだと。看護師の名前も実名で書いてもいい内容だ。

夜、血圧・脈を取りに来た看護師たちに聞くと「あのアンケートで書かれて、後で院長から呼ばれて叱責された同僚もいた。直行便は止めて欲しい」と。特に入院したご老人の家族からのクレームが圧倒的に多いらしい。私は退院するときに、このアンケートで院長充てに手紙を書いた。「この病院は素晴らしい。働く人たちも立派で、もうこういうアンケートは止めてはいかがだろうか?」。1週間後、院長の秘書から返事があって「今後の病院運営の参考にさせていただきます」でおしまい。

働く人の評価は自分で責任を持って雇用主がすべきことで、こういうアンケートという卑怯な方法で働く人たちの評価をさせるやり方は雇用主と働く側の信頼感を減らすだけだと思うのである。雇用主が常駐しない(請負主の社員不在)、明治時代なら「不在地主」といい、事件が起きてはじめてやってくるようなものだ。

NHKや新聞社のメルマガもアンケートだらけ。これで記事を1本作ろうとしているのか。自分の五感を信じて判断できる人がいなくなったのか?信頼の人間関係をつくるのが基本と思うけど。YAHOOもトップページにアンケートに応えて〇〇をゲットしようだ。そうか、〇〇が欲しいのでアンケートに答えているだけなのか?筆者の考え過ぎか?

アンケートで政権交代ができたり、財政政策や年金運用で多額の損失をさせた財務省官僚を辞めさせたりできればいいね。弱い者同士の同士討ちはいただけない。顔の見えないアンケートする側をアンケートしたいものだ。そうすればされる側の気持ちが少しはわかる。正社員と派遣社員の関係みたいだ。

明日は「ペストの歴史」(第6回)黒死病の遺産です。7回で完結です。

  1. 目安箱へ本人が投函するのには勇気がいる。しかしアンケートに答えるには勇気は要らない。この気軽なアンケートにも裏がある。例えば或る自動車メーカーが実施する各ディーラーのショールームやサービス工場の顧客対応について5段階評価を求めるアンケートの場合、①が悪く⑤が最良と思って答えると、実際には①も④も悪い評価に入れられ、⑤だけが良とされる事がある。この裏事情を知らない正直なユーザーが微妙な②や③とか④に答えても結果は最悪となる。裏を知っている僕は迷わずオール⑤にする。アンケートの悪い処は現場を知らないセクションで便宜上行っている調査で自分たちの労力を減らし、その調査時間を顧客に押し付ける事にもなっている。答えの見返りとしてボールペンの一本もくれれば良い方で、最近ではさらに経費と労力を減らすためにメールや電話アンケートが主流になっている。見返りは「ありがとうございました」の一言。自分たちはありがたくてもユーザーには、ちっともありがたくない。「ごめんねで済むんなら警察はいらん」と似ている?。「自分の都合は他人の迷惑」新しい標語が出来た。

  2. 調査を実施するところは多いですが、調査設計にコストをかけるところは少ないですね。
    どこかの雛形に思いつきの質問項目を付け加えるだけだから、結果集計の数字をめぐって、
    会議でいろいろな解釈が出るという珍現象が起こります。

    oldbadboy

  3. 遠まわしなアンケートもつまりは購買に結び付けたいのが最終結論なら「近々ご購入検討中の方へ」のタイトルのアンケートが最も効果的と言える。「今、買わないよ」と言う方は当然ながら答えないだろうし、このように限定すれば数はそろわないだろうけど中身は濃いアンケートになりそうだ。今度、イベントで試してみようと思う。Aタイプ「興味があるが購入までは考えて居ない方へ」。Bタイプ「とても興味があり近い将来購入検討の方へ」。Cタイプ「近々購入を検討している方へ」と3タイプ用意して選択肢を与え分類すれば、答える方も気が楽だし、集計も、追っかけも空振りやでたらめな記入による無駄足もなくなると思う。奥歯にモノが挟まったような長ったらしいアンケートより、もっとストレートな内容の方が趣旨が読めて答えやすいし、目的も達成できるのではないだろうか。

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