2 本の木

ニセコ風景(2015年8月) 撮影筆者

突然のメールが舞い込みましたので掲載します。

昨年友人夫婦が、突然東京から十勝に移住しました。

長年サラリーマンをやっていたため、

地域に立派な公民館があるのを見て、

これは補助金で作ったのかと言ったので、こんな話をしました。

欧米では、映画監督や俳優、スポーツの

スーパースターが、一族のために農園を買うのが、珍しくありません。

農家の自家用飛行機所有者もまた、珍しくありません。

つまり農家は、子孫の代まで安定して儲かるのです。

 

日本で農家や酪農家で自家用飛行機はまずないでしょうし

子供の代まで安定してるかどうかさえ疑問です。

日本の、特に北海道の農家が欧米程儲からないのは

食糧庁の指導で、価格が抑えられているためです。

その差分の一部でも、というのが補助金です。

つまり補助金で食っているのは農家ではなく

東京都民というわけです。東京に暮らしていれば、

税金を払ってなくても、いつでもオペラを鑑賞に行ける。

北海道の農家は、一家だけで何千人分ものじゃがいもを

安く東京に提供しているが、オペラの機会は少ない。

ちょっと立派な公民館があっても罰はあたらないだろうということです。

 

TPPも話題になりました。サラリーマン世帯にとって

安い輸入食品が増えるのはいいことだ、という訳です。

ところが食料を輸入に依存しきって、日本の一次産業が壊滅した後でも

手のひらを返してボッタクリをしない善良な国に

心当たりはありません。一次産業が再生するまでの

例えば10年というような期間、ボッタクリに甘んじなくては

生きていけなくなりますし、おそらく食料輸入の負担のせいで、

再生そのものの原資も足りなくなるでしょう。

つまり、外国は補助金を付けてでも食料品を安く輸出してますが、

それを享受できるのは、日本がそれなりに自給しているおかげと言えます。

 

日本の農業に対するいろいろな制約がなくなっても、

規模が大きい北海道の農家は生き残っていけるでしょう。

でも、道産のおいしくて健康的なじゃがいもは

1個数百円になって、青山の高級スーパーだけに並ぶようになり、

残りは中国の億万長者向けになります。

そして農家の青年は自家用飛行機を乗り回し、

アイドルや女子アナを嫁にできるようになります。

 

こと食料に関する限り、これは大げさとは言えません。

わずかな米と、献上の帯を交換せざるを得なかったのは

そう古いことではありません。

というような話をしました。間違ってるでしょうけど、

北海道で暮らすなら、それくらいに考えておいたほうが

良いと思ったので。

 

  1. 北海道の農業はこれからが正念場でしょうね。これまでは農業団体の組織下でまるでサラリーマンのように流通はお任せ方式でしたが、最近は法人化や十勝のような独自の経営が目立ってきました。TPPでは大いに揉めた農業ですが、少し変化が表れてきました。農業女子など若者の農村回帰も見られ農業の未来は近代化とともに新しい段階に入ったとも言えそうです。最近TVで紹介された厳寒の冬の名寄で特殊なほうれん草を栽培している人を見ました。彼の周りには仲間ができて、冬には遊んでいた農家も巻き込んで冬野菜に取り組んでいました。そんなほうれん草は特別甘く美味しいと評判を呼びホテルやレストランから引く手あまたです。僕も近くの高級パンのお店でそのほうれん草を生地に練り込んだフランスパンを買ってみました。確かにヘルシーで商品価値をも高めています。こんなほうれん草の栽培を始めた彼も別の仕事を持つ人でした。異業種からの参入も含め新しいアイディアや研究によって厳寒の地でも通年農業が可能になれば農産物の商品価値も上がり生産者も地域も栄えるに違いありません。北海道農業は今や、ブランディングの時代に入ったとも言えます。商品価値を高めるには既成概念にとらわれない異業種からの参入も必要ではないでしょうか。消費王国の都会からの農村移住など北海道にとって大歓迎ですね。

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