身近なお金に関するトラブル(第1回)
お金に関するトラブルがない企業や町内会や役所はゼロだ。マンションの管理組合でも積立金を生活費に流用していた理事や会計の人間がいた。目の前に現ナマがあると、人間は変わりやすい。ちょっと拝借、後で返すよと思っても、繰り返すうちに横領になってしまう、当初は返せても。
これは、寸借癖ともいえて、私の隣の一人暮らしのおばあちゃんも近所の奥さんへ10万円貸して取り返せなくて、しばらくしてから私へ相談に来た。私の家内にも3万円を借りたい旨来たが1万円で勘弁してもらった。向かいの家は8万円、さらに隣も10万円。軒並み借りまくっていたのが後々判明。あそこの奥さんは借金をしに来るから注意してねと隣近所言い合ったのは事件が起きて1年後だ。
借りるときは女性が一人のとき、旦那が亡くなっておばあちゃんのひとり暮らしとか、単身赴任者の夫を持つ主婦を狙う。それが不思議と、時間が経過して全額返ってくるから交番へ届ける犯罪にはならない。一体、どこで調達して返しているんだろうか。パチンコ屋さんで目撃されているから、大勝ちしたときに返すのかもしれない。団地全体で借りまくり主婦で有名だった。夫もいるのに気づかないのだろうか?
団地の町内会館をリフォームする際、数十万円の使途不明金が出た。町内会役員は全員、責任を取って辞職したが、飲み食いが頻繁な習慣の70歳台の役員たちだったから、それに使われたのだろうと住民は思っている。徹底的に追求しない豊かな財政の平和な団地だ。
会社の中でも、特に外注のデザイナーやライターをたくさん使う広告会社はキックバックを要求して私腹を肥やす。外注者はキックバック分の金額をあらかじめ上乗せするから要求に応じても金銭被害はゼロになる仕組みだ。営業は残業代がない企業も多く、接待費の費用にも限界もあり、仕事も派手で見え張りが多いから金を使うし、スポンサーも奢られるのはあったりまえという顔でくる。家庭の小遣いも限られて肩身が狭い中、ついつい自由のきく外注者へ『5万の仕事を7万で請求書出してもらえないか。経費で交際費が認められないんだよ』。業者は仕方がないと諦めて不正に手を貸すことになる。
キックバックといえば、以前は広告を取る側にいた人間が、今度は広告を出すスポンサー側に座ったとき、キックバックを要求して、後でバレて懲戒解雇になった。私は自分で言うのの恥ずかしいがいい企画提案を持って行っても、話も聞いてくれなかった。『売り上げの20%をあなた様へ差し上げますので聞いてください』と言えば仕事が発生したかもしれない。
車のデイーラーでも悪質な担当者がいて、以前は別な人間が広告の窓口であったが、彼に担当が変わると、別な広告会社を使うようになった。キックバックOKの広告会社とのみ付き合うのであった。2年経過して彼は懲戒解雇になったと聞いている。外資系の生保へ転職したらしいが、チャンスとあれば金銭面で同じことを繰り返すと思う、これ病気ですから。
保険のおばちゃんに騙された男
近くの高層市営住宅に住む気のいいおばちゃんは、保険の外交員だった。親父は入れ墨入りのヤクザ風で苦労していたようだ。でも隣近所に上がり込んで世間話をしたり誰もが付き合っていたいいおばちゃんだった。そんなおばちゃんから保険の加入を頼まれると「ま、いいか」と入ってしまう。僕の家内もそんな一人だった。そして何年か過ぎた或る日、或る銀行の札幌駅北口店から電話があった。「保険の満期の受取金」に関してだった。僕はその銀行支店に口座など開設していなかったので不審に思い調べると、何と保険のおばちゃんが勝手に僕名義の口座を作っていたのだ。即座に保険会社の札幌支店に抗議に出向いたが、おばちゃんの所属は会議テーブルだけしかない大部屋営で支店では話が見えなかった。名だけは営業所だが、外注のパートのおばちゃんたちが肩書だけは○○支部とかの名刺を持たされ、朝夕だけ集まる会議室に愕然とした。発覚が早く、おカネは盗られなかったが、本人曰く、満期に現金を我が家に届けるつもりだったとか???
あげたつもりのおカネ
僕の家には友人が集まって麻雀をしたり集会所だった。そんな仲間の一人のキャメラマンは、僕の留守にカミさんに30万借りに来た。家から僕に電話で貸して良いか問い合わせに「あげるつもりで貸しなさい」と。但し、家のタイプライターで返済期日を打ち込んでサインさせなさいと。貸した30万は期日過ぎても返って来ず、彼のために催促してしばらく経ったある日、彼がベランダから茶封筒に入れた30万を投げ込んで捨て台詞をはいて行った。サラ金からまた借金でもして来たのだろう。
噂の男
部下のディレクターは「悪名」を地で行くような風体の男だった。ご機嫌の良いときは可愛いが、ひとつこじれるとキレて脅したりする輩だった。そんな彼に大切な大手流通のクライアントのオープンのプレゼンテーションの制作作業をさせていた或る日、10万円を貸してと言われた。僕以外に他に頼む人が居ないと。プレゼンは迫っていた事もあって貸した。期日になっても返すそぶりはなかった。後で知ったが、他に借りれない理由は、周りの業者からも小口で10万ほどをたくさんの人から借りていてその返済のために借りる悪循環を繰り返していたようだ。半年後、僕は或るテクニックを駆使して取り返したが、噂によれば、たいていの貸した人たちは泣き寝入りしているらしい。
古紙回収
身近ではないが、舛添も猪瀬もカネで人生を躓いた。身近なところでは、町内会の古新聞や雑誌など古紙回収を業者に頼んで土曜日にトラックが巡回して来るが各家庭には何も還元されない。むしろ有料ゴミを無料奉仕で回収しているかのように思わせているが、実は町内会にお金が入っているらしい。しかしそのお金は?と言うと、これも町内のために還元されていない。つまり町内会の役員の老人たちが温泉旅行などに使っているらしい。特権乱用だが、彼らにしてみれば町内のためにボランティア活動の見返りと思っているのだろう。本来ボランティアは無償奉仕が基本だと思う。従って我が家では土曜日に古紙を玄関先に出さず、町内会と癒着していない違う業者に電話して回収してもらうことに決めた。ゴミ袋の一つでもくれる業者のほうが健全だからだ。心がセコい奴らはどこにもいるが、他人のカネをかすめるセコい奴とは付き合いたくない。
寸借詐欺師
街でバッタリ会ったばっかりに、お茶を飲む羽目に。ほとんど払う気が無い彼だからと判っちゃあいるが、敢えて言わない事に。と、どうだろう?今度は気安く「千円貸して」と来る。これまでに返って来た試しは無い。「此奴はこの前の千円返して」などとセコい事は言わないだろうと彼は踏んでいるのだ。こんな貧乏を装っている奴に限って、不動産なんかを持っていたりするから要注意だ。
汚い手口
食事やお酒に誘われて行くと、いきなり「いただきま~す!」とか、「今日はごちそうさま~!」と先手を打ってくる図々しい輩がいる。こんな奴に限って他人の財布など気にせずにガンガンと好き勝手にオーダーして大はしゃぎする。終いには帰る段になって、板さんや仲居さんに「これのお土産作って!」と自宅へのお土産まで勝手に頼んでいる。初めから財布など持って来ていないから始末が悪い。ほとんど酔っぱらっているふりして、ごまかす汚い手口だ。このノー天気には二度と誘われまいと心に誓った。