仲の良い夫婦は愛情の強い方が必ず先に死んでゆく(方丈記)

鴨長明の方丈記(マンガ古典文庫 112p))に京の都で起きた大飢饉(養和の飢饉 1181年)が起きて、都の中だけに限っても4万2000人の死者が出た。その中で見た光景を「仲の良い夫婦は愛情の強い方が必ず先に死んでゆく。自分を二の次に相手を第一にいたわるので、まれに手に入れた食べ物も相手に譲ってしまうからである」多くが先に死んでゆくではなくて、必ず先に死んでゆくという鴨長明の観察であった。

この国の議員たちも国民や市民への愛情が深いから、自分のことは二の次にして、まずは国民・市民のために生きているのだろうと思いたい。12世紀のことである。

敗者学のすすめ(山口昌男)

『敗者の精神史』(岩波)も含めて『敗者学のすすめ』も借りてきた。膨大な読書量とアフリカのフィールドワークも含めて、圧倒的な知の量で民間を鼓舞する山口昌男さん。明治維新で薩長連合が明治政府の中枢を握ってしまい、文化的な野蛮性が江戸を支配して、文化レベルが低下したが、様々な幕臣や幕臣の子供たちが官位を辞したり、逃げ回り、様々な分野で活躍する場面を掘り起こした本である。

縦のピラミッド型ではなくて横のネットワーク人脈や職業や年齢を超えて『興味や関心事』で集まる同好会組織に視点を置いている。『日本における人類学の父』と言われる東大の坪井正五郎の主催した『集古会』は明治25年に始まり、勉強好きが集まった。明治・大正・昭和と続いた民間のアカデミーで『街角のアカデミー』と山口昌男は命名。

この本が書かれたのは、何でも成功体験ばかりが書かれて、勝者伝説(物語)やアメリカ流ビジネスが売れていた時である。そしてご存じバブル崩壊。『戦後の経済復興で安定したはずの日本経済システムを、我々は何となく不動の現実であると考え、左右を問わず甘えてきた。昭和43年(1968年)の学生の反乱の際、うろたえて右往左往する大学の様子を世間は他人事のように見ていた。その頃、山口昌男は、大学に起こることはそのうちビジネスの社会にも起こるのではないかと感じていたものである。

事実、バブル崩壊後の不景気、構造汚職に現れているものは、不動のはずだった現実のかなりの部分が幻であったという事実である』(79p 敗者学のすすめ)不動の現実はほぼないと考えてみると東芝しかり、タカタのシートベルト、銀行のサラ金化(カードーローン販売ばかり)、ゼネコンを含めて原発関連企業の経営の傾き、放射能で汚染された空気の中でこれから何十年も生きていかなければならない日本人(人類)。そして安定しない大地。突然の地震と火山と豪雨も覚悟しなければいけない。

世の中で起きている事件はいずれ自分に来る。病気の発症もある日突然である。山口昌男の本を読んでいると、『歴史には勝者はいない。ビジネス社会にもひょっとして勝つ人は誰もいないのではないか』と思う。政治や戦争ももちろんである。短い時間で区切れば『勝った、負けた』があるだけ。すべては敗者の歴史に収斂する、山口昌男さんが晩年、追い求めた仮説・真理はそういうことだったのかもしれない。

まだ彼の本を読み終えるには相当な時間を要するが、歴史に限らず、個人に限っても勝者は実はどこにもいないかもしれないと思う本である。いずれ迎える死を前提に生きているわけだから、健康神話をばら撒くCMのまやかしの世界に踊らず、隣の困ってる人をせめて助ける人生を繰り返すことで、精神の健康を保ちたいものである。「敗者学」にはたくさんの助け合う横の人間関係の例が、文化・政治にレベルでも起きていることが知れる。

台湾海峡封鎖について(投稿)

最近、中国による台湾海峡封鎖の可能性が話題になっていますが、
現場を見ない、政治の理屈が優先され過ぎているように思えます。

海には陸上の国家が生まれる前から「海の掟」があり、
現行の国際的な海洋関連の法律や条約も、すべてそれを踏まえています。
その掟は「海は自由」と、「船乗りは助け合う」というものです。
大原則として、海はどこを航行してもかまいません。

各国の「領海」を通過するのも自由で、実際軍艦でも通過しまくっています。
特に国旗と国際的に決まった信号旗をかげてきた船を攻撃すれば、攻撃したほうが非難されます。
※信号旗は、現代では電気通信に変わっていますが、今でも事情があって掲げれば通用します。

何の旗も出さずに軍艦が領海に入り込んできたらどうするかと言えば、
もちろん警戒されますが、病気など、信号を出せない事情があって助けを求めてきた可能性もあるので、やはり攻撃はしません。
武力で他の船を止めて臨検すれば「海賊」と呼ばれ、
世界から敵とみなされます。これは何千年も前から変わらない掟で
同盟がどうのの以前の問題です。
日本でさえマラッカ海峡の海賊には、自衛隊が銃撃して撃退しています。

中国は、台湾は自国領土なので台湾海峡も領海と言っていますが、
その言い分を認めた上でも、台湾海峡は公海と同じ「国際海峡」なので、
封鎖をすれば「海賊」になります。
津軽海峡はあからさまな領海内ですが、「国際海峡」なので、
以前ロシアの軍艦が航行したときもまったくお構い無しでした。

海は、何千年もの間「自由」と「助け合い」の掟が受け継がれてきたので、
中国が海峡封鎖を匂わせただけで、歴史的海洋国家のオーストラリアやイギリスがわざわざ軍艦を通過させたり、日本がやるなら考えがあるぞと言うのは当たりまえです。アメリカは、一線を越えた瞬間にもっと過激な行動に出るでしょう。

ちなみに海上封鎖せずに台湾侵攻はできません。やろうとすれば
「自由な」台湾海峡に各国の艦船が押し寄せ、戦争どころではなくなります。
海上自衛隊もかけつけるでしょう。
いずれにせよ中国は、孫子の兵法=戦わずして勝つ、の国ですから
威勢のいいアナウンスや旅行禁止などのいやがらせだけを続け、
いきなりミサイルを撃つことはないでしょう。