僕は君たちに武器を配りたい(瀧本哲史)

 

読みが外れれば大損をしてしまう投資の世界を熟知している瀧本哲史さん。2019年8月10日、47歳で死去。彼の名著の『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社)を読んでみた。挑戦的な題名の本だが、中身も挑戦的で学生や社会に出て間もない人、大学時代から起業を目指す人へゲリラ戦のアドバイスを書いている。非情で残酷な日本社会(日本に限らないと思うが)で生き抜くための武器を提供している。たとえば就職するときの企業選びの注意事項は・・・・(同著 101p)
1)大量のコマーシャルを打っている会社、『今、流行っている』商品・サービスを売る会社には気をつけよ!
2)生産性の低い40代・50代社員が幸せそうにしている会社には入るな!
3)企業を見極めるポイントは『お客さんを大切にしているか』。顧客を大事にする会社は従業員も大切にする。
マーケッティングの会社に在籍していたり自分で投資家として活躍もして、日本の企業の実態を分析して得た結論を簡潔に述べて、若き世代へ『ゲリラ的に』働ける武器を、理論を、その具体的な事例を書き溜めた。読みやすく、各章ごとに『ここままでのまとめ』として得られた武器を表示している。気のつくままに、彼の武器を列挙するので、関心あるかたは書店でどうぞ・・・。
●企業や商品で差をつくることは難しい。差をつけるには、ターゲットとなった顧客が共感できるストーリーを作ること●『自分の頭で物事を考えない人』は、DQN(ネットッスラング・ドキュン=遅れた層)ビジネスのカモにされる●メディア業界人は『唯一の情報を提供できる人以外は』生き残れない。●顧客の需要を満たし続けるマーケッターは生き残れる。●勉強ブームのカゲには『不安解消マーケッティング』がある。安易に勉強すれば大丈夫と思うな!●全産業で『コモディティ化』(平均化・差異が認められない個性喪失)が進んでいる。賃金を下げないためにコモディティになるな●専業主婦はハイリスク。婚活ブームに踊らされずに、女性もキャリアを目指せ●金融会社など高給で知られる会社ほど、変化が激しく、短命な商品の寿命がそのままビジネスの寿命になる●大学では『奴隷の勉強』に時間をかけず、自由人になるための『リベラル・アーツ(教養)』を学べ●本当の資本主義の時代に、『ほんとうに人間らしい関係』を探っていこう。
これから世の中に出る人、まだ出て年数の少ない人や学生の未来構築に生き方や言葉の武器を瀧本さんは遺言のように書いていたんだと思った次第である。国に頼るな!が基本。自由人になるために。

ミミズを助ける1年生とダーウィン。

雨上がりの朝、ランドセルに黄色のカバーを付けた新一年生が我が家の自宅前の道端で立ち止まっている。同級生が『どうしたの』『ミミズがいて、ここにいると踏んづけられるから、移しているの』と塀のない我が家の庭へ移動させて、『これでだいじょうぶ』と学校へ向かった。

福岡伸一さんの本のあちこちに、進化論を書いたC・ダーウィンの最後の著書が『ミミズの研究』であったと書いてある。私もミミズは好きで(巨大なミミズはさすがに気味悪い)、庭を掘ると彼らが出てくる。土を耕してくれて感謝している。口から土を入れて、栄養素を吸収し、お尻から出す。福岡伸一さんは、ミミズに脳はあるかどうか調べた。方法は餌を運ぶミミズに紙切れの先を▼にして穴の前に置き、初めは▲で穴へ入れるも、頭がでかくて入らず、2回目に▼にして無事に穴へ運んだ。これを見て、ミミズに解剖学的な脳はないが、考える仕組みがあると考えた。

それを脳といえば脳かもしれない。消化器官の管だけで生きているミミズ、目も見えず、じっと穴の中で過ごし、どういうわけか雨上がりにアスファルトに出てきて、自転車に踏まれ、人の足に踏まれて独特の匂いを周りに発している。生物の発生学からいくと、初めは消化器官でここから大脳が分かれて行くことを考えると、第一の脳は実は消化器官なのだ。ミミズの連想でいくと考えるは場所は、消化器官の周りに張り巡らされた神経ネットワークだとすると、人間も考えるのはまず消化器官かもしれないと推理できる。そういえば、悩みは正直に胃腸を壊すところから始まる覚えはないだろうか。ミミズに背骨をつけて立たせ、顔と手足をつけると人間になるような錯覚を覚えた。

『そもそも、私たちの遠い遠い先祖は、現在のミミズやナメクジのような存在だった。彼らの姿こそが、私たちの原形なのである。彼らはまさに一本の管。口と肛門があり、その間を中空のチューブが貫いている』(動的平衡 72p)

『どうしてこうなったか』と考え始めると『ああでもない、こうでもない』と推理が始まるが、これは大脳の大好きな後付け説明みたいなものだ。脳は嘘を言えても、腸は嘘をつかない。どこかの首相に聞かせたい科白だが本当だ。毎日出す便ほど大切なものはないかもしれない。

それは余談として、自宅前のミミズを1匹考えるだけで凄い世界に学問は入っていくのだと思うと、ミミズの横をアリたちが移動している。アリに言葉があるかどうか?スズメたちは喋っているようだ。植物にも感情があるという人がいる。優しい言葉をかけながら水を上げると綺麗に咲くと言うのだが。子育てもそうであって欲しいと思う昨今だ。

それにしても、ダーウィンがなぜ人生最後の研究をミミズにしたのだろうか。土壌を作る、生きるための作物を最初に作る生き物としてミミズの存在を考えていたのかもしれないね。ミミズがいないと植物も生えず、鳥もいなく、ましてや哺乳動物も生きられる土壌にはならないから。

ワクチン集団接種,ひと休み。

7月18日で新型コロナワクチン接種ひと休み。7月31日(土曜)から再開。7月18日は65歳以上の2回目接種の最後。これから年齢が下がり、彼らの1回目の接種が始まる。付き添いもどんどん減ってきて、お手伝いする私たちもずいぶん楽になってきている。高齢者の場合、何度か書いたが、クレーマーの男たちが何人もいたが、今回は、シルバー人材で働く高齢者にも困った男がいた話である。某派遣会社に雇われた34人の私たちと、シルバー人材10名が接種の現場を支えている。派手な服装はせず、私語は慎み、立つときは手を後ろで組まず、前に持ってくる。壁には寄りかからずとか毎朝の朝礼で、市役所に入った市民からのクレーム内容が発表される。スマホを仕事中にいじっているとかマナーに関するものもある。私はピンクのシャツを着ていたので、以降派手な色は控えている。服装にあれこれ言われる世界は面倒くさい。自分がどれだけ自由な職場で40年働いてきたか思わずにいられない。

ところで私から見て、これではダメだと思い注意したシルバー人材センターの職員。年齢は60代。靴の後ろを踏んづけて、膝から素足を出して、肩からバックを下げて市民の予診票をチェックしていたので、「そのバックを外してどこかに置いていただけませんか?」と注意したが「絶対、ぶつからない。このなかにボールペンなど仕事道具が入っている」と言ってきかない。直さない。全体に仕事を丁寧にする姿や服装でないので、接種責任者が着る青いビブスの人から再度の注意を喚起してもらう。仕事が切れると、付添人に用意されたパイプ椅子に彼はすぐに腰かけ休み始める。そこへつかつか行って彼に説教したら、どこかに荷物を置きに行き,帰ってこない。ふてってしまったのだ。しかし、シルバー人材の中では重鎮のようで、取り巻きが寄っては話し相手になっている。自分が注意されることにどこまでも納得できない男だった。第三者の視点で自分を見れない多くのサラリーマンが定年後も続く姿だと私自身も考えさせられる事件であった。